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第9章 天からの贈り物


『今から、マーガレットさんの身体に私の細胞を少しずつ埋め込んで、早急に傷を治します』

ナサニエルさんの言葉に冷静に答えると、やはり驚いたのだろう、目を思いっきり見開いてこちらに向けられた。

「あ、貴方の細胞を…?どうしてそのようなことを……というかどのようにして!?理解に苦しみます!!」

『私の身体の細胞は、傷を感知すると急速に増幅して傷を治してしまうものなんです。それを私の能力でマーガレットさんの傷口に移植させて、彼女の身体に馴染ませ、傷を塞ぎます』

言っている事が分からないのか、それともそんな事がありえるはずがないとでもいうのか…

口で言えるほど私にとっても簡単なものではない上、かなりの時間と気力と集中力を要するこの作業は、本当に時間と余裕のある時にしか行えないものだ。

それに怪我をした部位と全く同じ役割を担う細胞が必要となり、正直なところ、本当に私自身に移し替えてしまった方が早い…だけどそれをしてはいけないから、一番難しくて一番安全な方法をとるしか私には出来ない。

『口で言って分かっていただけないのなら、試しに一箇所やってみせますから…お願いします、カルテを見せてください。時間も集中力も必要なんです。それに、怪我が無くなれば身体へのダメージは無くなるじゃないですか』

貴方が何を言っているのか、到底私には理解出来ない…試しに見せていただいてから考えます、と言いながら、ナサニエルさんは私にマーガレットさんのカルテを差し出す。

ありがとうございますと言ってからカルテを受け取り、とりあえずは一番怪我の軽そうな腕…擦り傷を治すことにして、マーガレットさんの右腕の包帯を解く。

擦り傷だけでも火傷したように状態は酷く、更に数も多い…

少し集中するんで離れてて下さいとナサニエルさんにお願いし、彼が離れたのを確認してから、目を閉じて意識を集中させた。

移す細胞の量を誤ってしまっては、今度はそれこそ私自身が移植すら出来なくなってしまう。

慎重に、焦らず神経を研ぎ澄ませて……____

「……ッ!?な、何が起こって…っ!!」

ナサニエルさんの発言にパチッと目を開いて、見るとマーガレットさんの腕の擦り傷…火傷の一つが綺麗に跡形もなく治っていた。

これを使ったの自体が既に数百年ぶりだったため、成功しただけでも気が抜けそうになる。

『よ、よかった…』
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