第9章 天からの贈り物
フランシスさんの過保護対応に私とトウェインさんが何度も驚かされ、天然なのか根っからの子供好きなのか全くひこうとしないフランシスさんに遂に根負けして突っ込むことすら出来なくなった。
いや、私子供なの見た目だけだし…一応歳だけ考えたら一番歳上だし。
なんて再び自分の中で訂正を加えていれば、フランシスさんの執務室のドアをノックする音が響く。
フランシスさんが入れと許可を出すと、今までに私が見たことのない組合の構成員さんが入室される。
どうやら酷い怪我をされているようだけれど…格好的に、外国の牧師さんか何かだろうか。
「失礼します…ボス、ご報告が。マーガレットの指が少し反応を見せました」
「!何、それは本当か!?」
「動いたの!?と、とりあえずよかったのかいそれは…」
一人状況を理解出来ずに首を傾げていると、トウェインさんがマーガレットさんという組合の上級構成員の異能力者さんの事を教えてくれる。
組合の元の拠点出会った大型船であるゼルダ号に積荷を運び入れる際、拠点はポートマフィアの梶井さんによって爆破…そしてその後現れた芥川さんによって、マーガレットさんは意識不明の重体に。
今ここに入室したナサニエルさんは直接芥川さんと対峙して敗れ、彼も数日前まで歩くこともままならなかったそう。
そうか、芥川さんの攻撃を受けて、死にきれずに…
意識がずっと戻っていない状態で指だけでも動いたのだとあればそれは喜ばしい事だ。
しかし、そこで私の中に、ふとある考えが降り立った。
『………そのマーガレットさんって、治療を続けてれば意識が戻る可能性はあるんですよね』
フランシスさんに問うとああ、勿論だと答えられ、それにまた疑問を投げかける。
『芥川さんからの攻撃で重体って、傷口の具合は?』
「貴女は…ああ、探偵社の。……マーガレットの傷口は、縫いはしましたがとても人に見せられるようなものではありません。あれでも女性…意識がまだ戻らないのも、それはそれであの傷を背負わなくていいという面もあるのかもしれない」
意識不明の重体にまで追いやられてしまうほどの攻撃…芥川さんがどのような手段で攻撃したのかは知らないけれど、仕事において相手に慈悲をかけるような人ではないということは知っている。
『心身に深い傷を付けるものですからね……私を連れて行ってもらえませんか?』