第9章 天からの贈り物
喫茶店でプリンを言われた通りに買い占めると、奥さんにもオーナーさんにも驚かれた。
今回はお使いで来たのだという事を伝えると納得してもらえて、その上私だからとサービスに大きなアップルパイまで…昼間に奥さんが焼いていて、もしも私が来たら丁度渡そうと考えてくださっていたそうだ。
昨日トウェインさんが買いに行った時に私の記憶が無事に戻ったという話もしたらしく、それで焼いていてくださったらしい。
満面の笑みでお礼を言って喫茶店を後にし、モビーディックのフランシスさんの執務室へと移動した。
「…………で、このような量に?」
『はい、全部買い占めてこいって以前言われてましたし…アップルパイはサービスだと』
「プディングだけでもかなりの量な気がするのだが…これをいったい誰がこんなに食べるんだ?」
『大丈夫です、余って食べられなくなったプリンがあったら全部私が喜んで食べますから!!』
それ蝶ちゃんが食べたいだけだよねとトウェインさんに冷静に突っ込まれたけどそんなの知らない。
いいじゃない、美味しいんだもの。
「ま、まあとりあえず共用の冷蔵庫に冷やしておこう…アップルパイは今日の夕食のデザートにでもすればいい。庶民の味とは到底思えないあのプディングの作り主のパイだしな」
『あ、アップルパイもこんなに大きいですし、切り分けて皆で食べましょ?』
「!俺はてっきり君が一人で食べたがると思っていたのだが」
『流石に今から私も動くんですからそんな食べられなくなりますって!』
でもこの量のプリン見てうってならないんでしょ?とまたトウェインさんに突っ込まれ、それにうっ、と声を漏らす。
『こ、このプリンは別腹!!このプリン専用の胃袋があるの!!』
「「絶対言うと思った」」
二人からのまさかの返しに唖然とすると、フランシスさんが一つ咳払いをして、それより…とコンピューターの画面をこちらに向ける。
「ついつい気になる話題の記事を開いてしまい、こんなものに登録をしてしまったのだが…これは海外からでもちゃんと随時見られるのだろうか?」
なんだなんだと思って見た瞬間に、私もトウェインさんもピシッと固まる。
「……ボス?これ、蝶ちゃんの…」
「ああ、つい登録してしまった。海外からも見守ってやろう」
『フランシスさんよく過保護って言われません?』
まさかここまで伝わってたとは