第2章 暗闇の中で
『中也さ…』
「馬鹿、何処に行ったか焦っただろ!」
相当色んなところを走り回って来てくれたのだろう、肩で息をして壁にもたれかかっている。
「ほら、そろそろ寝る時間だ。早く部屋に戻って明日の準備もしっかりするんだぞ。」
『烏間先生…失礼しました、お休みなさい!』
愚痴を聞いてくれた烏間先生に頭を下げて、小走りで中也さんの元へ向かった。
『あ、あの中也さん、ごめ』
「悪かった!!」
今度は廊下で、中也さんが私に頭を下げる。
『い、いやいや、さっきのは完全に私のわがままで!』
「そんな事ねえ、俺の考えが甘かっただけだ。…でも、本当にその……可愛いとは、思って…る…から、」
チラ、と心配そうな目でこちらを見る中也さん。
照れていてやはり途切れ途切れではあるが、きちんと言ってくれる中也さんがやっぱり大好き。
『はい、!!中也さん、大好きです!』
ガシッと中也さんの腕に自分の腕を絡めて、笑う。
この人に触れられるのが幸せ。
「そうか…さっきお前にいくらでも甘えていいって言ったばかりだしな、出来るだけお前が嫌になるような事はしないよう、気をつけるよ」
『………見つけたら、その時は覚悟してて下さいよ?』
ニコッと満面の笑顔でそう言うと、何故か顔を青くしながらはい…と消え入りそうな声で苦笑いをされた。
「で、この状態な訳ね?…いやぁ懐かしい、しかし蝶ちゃんが成長している分、四年前とは違ってカップルのようにも見えるねぇ?」
状況を皆が見る中、森が口を開く。
『そ、そんな事!…あればいいですねぇ♡』
更に中也さんの腕にすりつく。
今の私は御機嫌だ。
「からかわないでくださいよ、全く…」
「とか言いつつも受け入れてるあたり、説得力ないっすよ中原さん」
木村君の言葉にうぐっと言葉が詰まる中也さん。
そんな姿も素敵です。
『何言ってるのよ木村君!そこに説得力なんていらないんだよ!』
「そ、そうっすか!はは!」
何故敬語?
「まあ、小さい頃から蝶ちゃん…大きくなったら中也さんのお嫁さんになる〜って言ってきてたしねぇ」
首領から何か聞こえた。
中也さんなんてブッと反対方向を向いて吹き出している。
『そうそ……う、えええちょっと!何バラしてるんですか!?』
私達だけが焦る中、皆は「想像つくわ〜」と温かい目でこちらを見ていた。