第2章 暗闇の中で
私が他の人に嫉妬して騒ぎ立てる事は、よくあることだった。
もっとちっちゃい頃なら普通にあやしに来るだけだった中也さんだが、今回はまだ来ない。
まさか他の女の子に捕まって……とか考えてしまうあたり、中也さんに関係する事だと本当に頭が迷走してしまうらしい。
『そこからですよ!まず!折角四年ぶりに会ったっていうのに私の目の前で女の子達にベタベタなんかしちゃって~!!』
「は、はぁ…なら、見ていないところで知らぬ間に絡んでいろ、と?」
烏間先生の質問に少しの間ポカンとしていたものの、段々と怒りが込み上げてきた。
『そんなわけがないでしょう!?私に隠れて他の女の子とイチャイチャだなんて、!!』
「いや、イチャイチャとまでは言ってないんだが…」
『……はぁ~あ、…プレゼントってことで服嬉しくて舞い上がって、バカみたいです。嬉しかったし、中也さんがくれた物だから勇気出して着たのに。やっぱり中也さんからしてみたら私なんて、ただの子供なんですかね』
「俺は中原さんとそこまで関わりがあった訳ではないから信じられないかもしれないが……少なくとも、今日ここまで白石さんを運んできてからの彼の様子を見ている限り、白石さんへ人一倍強い想いがある事は確かだと思う」
ここまで運んできた、という事は不良に拉致された後の事だろうか。
『でも、中也さんは優しいから…口は不器用だけど、優しい人なんです。だから、私じゃなくてもそんなこと…』
「そうか?赤羽君達に聞いた話じゃ、白石さんだけ別の場所で捕まってたそうだな」
『はい。それがどうかしました?』
「何でも、場所を無理やり高校生達から聞き出したことや、君が捕まってた場所に乗り込んでそこの高校生達を倒したのは、全て中原さんの独断行動だったそうだ」
独断行動…って事は、カルマ君や殺せんせーとは別で、本当に一人で乗り込んできたって事?
「白石さんの元には自分一人で行くから先に帰って、絶対に付いてくるなと言っていたそうだ。勿論茅野さんや神崎さんを助けはしていたが、そちらは基本赤羽君達が自力でやってのけたものだったらしいし…」
『へ、へぇ…そうですか、』
「ああ。俺が思うに、だが……二人でいる時間を作りたかったんじゃないのか?」
烏間先生に言われてハッとした。
と同時に、教員部屋の戸が凄い勢いで開かれる。
「蝶!!!」