第2章 暗闇の中で
「あの、だからこれは不可抗力ってやつでだな…」
『ま、まさか中也さん、カエデちゃんと奥田ちゃんの可愛い浴衣姿に心奪われてなんてこと…!中也さんの浮気者~〜〜!!!』
叫びながら、烏間先生の元へと駆け出して行った。
「え、うわ…き、?」
ポカンとして取り残された者は、皆口を開けたまま唖然としていた。
「…な、中原君!直ぐに行ってあげなさい!あの格好を一番に楽しみにしていたのに、他の男性に先に堪能されてもいいのかい!?」
「い、いや首領、俺ついさっき蝶に拒絶され…そ、それに堪能だなんてそんな、はは……」
余程ショックが大きかったのだろうか、中原は魂が抜けたかのように元気がない。
「いいの中也さん?中也さんが行かないんなら、俺達クラスの男子陣が貰っちゃうよ?可愛い可愛い蝶ちゃんのこと…♪」
赤羽の言葉を聞いて数秒。
「…ああ!?何言ってやがる赤羽、いくら手前といえども蝶は何処にも嫁になんてやらねえからな!!?」
「「「父親かよ!それとも彼氏かよ!!」」」
「他の野郎になんか先越されてたまるか!俺だってまだちゃんと見れてねぇんだぞクソッ、どこ行った蝶!!」
中原までもが外へと駆け出して行き、室内は静まった。
「森さん森さん、…アレで、まだ白石さんの片想いなんですか?」
殺せんせーがその場にいる全員の気になる質問を投下。
「ああ、四年前ならそうだったかな……今はどうだろうね?」
森の応答に皆が怪しい笑顔に変わる。
次第にヒソヒソと話し声が充満し、廊下にいた男子勢も部屋に入って、何とも奇妙な会議が始まった。
「中原君は本当、天然というか……悪く言えば鈍感なんだよねぇ、」
森の呟きは、すぐに生徒達の話し合いの議題へと変貌したのだった。
教員の部屋にて、私は烏間先生に愚痴を零して、
『それでですね!?満更でもなさそうな顔で、ちょっと照れながら入って来るんです!他の女の子相手にあんなにデレデレしちゃって!!』
「そ、そうか…苦労してるんだな、白石さんも」
『うあああ!!しかも手も繋がれて!ボディタッチまでされてて!!私の事なんか眼中にないんだあああ!!!』
「とりあえず落ち着こう、落ち着くんだ」
『無理ですよ!蝶のジェラシーはオーバーヒートしてるんです!!』
「な、何だそれは」
烏間先生を困らせていた。