第9章 天からの贈り物
「でもやっぱ肉とか赤身の魚とか食べた方がいいよね…ちょっとでもいいから食べれそうにない?」
トウェインさんの卵粥を完食してからごちそうさまをする前に、トウェインさんにそう言われた。
『………トウェインさんが作ってくれたら食べる』
俯きがちに思った事を返せば、一瞬キョトンとしてすぐに慌て始めるトウェインさん。
「えっ、…ええ!?僕!!?シェフが作ったやつの方が美味しいってば!!」
『私が料理するの阻止するくせに』
「だって君今病人でしょ!?」
『じゃあトウェインさんが作って。それなら残すのに罪悪感が募りすぎてなんとか食べられると思う』
また変な理論考えついたね!!と騒がしいトウェインさんは、顔を背ける私の方に歩いてきて、私と目線を合わせるようしゃがみ込んだ。
『…何』
「流石に僕もそこまで得意ってわけじゃないから…ねえ蝶ちゃん、やっぱり輸血しに行った方が良いんじゃないかな。攫っといてなんだけど、せめてちゃんと話し合ってご飯食べれるようにした方がいいよ」
『………今更何の話が出来るの。ご飯食べにくいのは自分の問題であの人は関係ない…それに今私、座れてるもの。輸血なんか無くったって…………ッぁ…』
トウェインさんの方に顔を向けられ、突然不意に動かされたというだけなのにクラリとする。
嘘でしょ、たった数日摂取してない状態で使っただけで、こんなに身体に響くもの?
自分で支えられなくなった身体をトウェインさんが上手く支え、気怠い身体のせいで更に気分が悪くなる。
「ほら、そんな状態でどうすんのさ。鉄分だって摂取する量は決められてるし、さっき摂った分が全部吸収されても量はしれてる…君、今補給するくらいで何とかなるような状態じゃないんでしょ」
『何とかするの…っ、だからお願い、このままいさせて……もうこんな身体の為に、あの人から血をとらないで…ッ』
「!蝶ちゃん、君まだそんな事言ってるの…?」
トウェインさんの言うそんな事は、私からしてみればそんな軽い言葉で済ませてしまっていいようなものではない。
そんな事…そう言われることに悔しいくらいに腹が立つ。
だけどトウェインさんからしてみればそんな事だし、それに今は怒れるほどの気力もない。
怒れない……怖い…………
『だ、って…私人間じゃないの…化け物なの!!身体中を切り刻まれて判明した事実なの!!!』
