第9章 天からの贈り物
それからすぐに卵粥が振る舞われ、トウェインさんが作ったとは到底思えないような素晴らしいお粥が目の前に現れる。
「…あの、うん、言いたい事は分かるんだけどね?流石にお粥くらいなら僕も作れるから!?要は日本版リゾットでしょ!?」
『い、いや…うん。トウェインさんが作るとかすっごい心配だったんだけど』
本日何度目になるかわからないトウェインさんからの酷っ!?を華麗に無視してお粥を掬う。
『………ッ!?』
「え、何!?不味かった!!?」
『ち、違くて…ッ、…あつ……っニャ!!?』
トウェインさんが氷水の入ったコップを私に手渡そうとしたのか、頬にそれが誤って当たってしまい、気づいた時には口を大きく滑らせていた。
暫しの沈黙。
キョトンとした目が刺さって痛い。
そろ~っと顔を逸らして水を飲むと、いやいや誤魔化せてないから!!と図星を刺された。
なんだこれ、デジャヴかな。
ヒリヒリする舌の熱を取ろうと両手で水をちょびちょび飲んでいると、トウェインさんはまだ呆然と私を見続けている。
「えーっと……子猫ちゃんか何かかな?」
『………中也さん家の愛玩動物…』
「まさかの乗ってきた!!てか何それちょっと如何わしいんだけど、どういう教育してんのあの人!?」
如何わしい?と首を傾げればああああ僕が悪かった、気にしないで!!と必死に説得されたので、うん?と放っておくことにした。
「ていうか出来たてなんだし熱いって分かってるでしょ?もう…ちゃんと冷ましてから食べないと」
『ふ、ふーふーしたし…熱いお粥が悪いんだし』
「猫舌なんだって認めなよもう!バレっバレだから!!」
『お粥が熱かっただけなの!!』
妙な意地っ張りによってどうでもいい会話ばかりがダラダラと流れ、気付けばいい具合に熱くなくなったお粥。
今度こそと食べてみると、本当にトウェインさんが作ったにしては意外で、ちゃんとした日本の卵粥だった。
食べやすいし、あんまり食べるのに抵抗もない。
『……美味、しい』
「!本当!?よかった〜…一応その中にも鉄分入れてあるから、変な味になってないか心配だったんだよ」
『そんな事まで…うん、全然気にならない。トウェインさん実は料理得意だったりする?』
「ううん、全然。でもこれ位のなら!蝶ちゃんへの愛情で頑張りました!!」
『また変な事言ってる…』
