第9章 天からの贈り物
「食欲無くなったのここ数日?ていうかここに来てからだよね」
『…甘いの食べてたから』
「はいはい、嘘つかなくていいから!もー…じゃあとりあえずサプリで鉄分を摂りましょう!」
ジャジャーンと自分で効果音を発しながら鉄分のサプリを私に笑顔で見せるトウェインさんに、思いっきりゲッというような顔をした。
「ほらほら、これお薬じゃなくてサプリだから。ごっくんすればすぐだって!」
『だ、からごっくんとか子供扱い…っ』
「子供じゃないなら飲もうよ蝶ちゃん」
『……』
上げ足をとられて何も言い返せなくなり、とりあえず一粒だけ受け取って少し口を開き、粒を口に入れようと手を動かす。
そして私は見事にそれを口の中に放り込み、お水でごっくんと…
『……………ゼリー』
「なんでそこまで意地張ったのさ!?もう、そういうとこも可愛いけど!!」
いけるわけなかった。
そんな簡単に水で飲めてたら私の薬嫌いなんかとっくの昔に治ってます。
『私がお水で飲めるわけ無いでしょ、ゼリーくれなきゃトウェインさん嫌い』
「なんかいきなり僕がディスられ始めてるのなんでかな!!」
はいはい、と言いながらせっせと白桃ゼリーを用意してきてくれたトウェインさんから目を輝かせてゼリーを受け取り、両手で器を持って歓声を上げる。
『おおお…お久しぶり、ゼリーちゃん……っ』
「なんかゼリーに負けた気分なんだけど」
たまらないといった笑顔でゼリーを頬張りつつ、それと一緒に楽々ドクターに規定されただけの分のサプリを摂取し終え、満足した。
「あらら、薬嫌いが嘘みたいに嬉しそうだわ…やっぱ凄いな中原中也、恐るべし」
『美味しかった〜…ありがとうトウェインさん!ゼリー食べたの久しぶりだった!!』
「!…そう、美味しかったんならよかったよかった。食欲無かったのが嘘みたいな食べっぷりだったけど……もしかして消化にいいものなら食べられそう?」
トウェインさんの提案にそう、かも?と曖昧な返事を返せば、じゃあちょっと厨房行ってくるねーと言って私を残して移動してしまった。
『……って、え!?トウェインさん、私自分で作れるよ!!?』
「病人はトウェイン様の特性リゾットでも食べて早く体調ととのえなさーい!……って、こういう時はおかゆってやつか!とりあえず蝶ちゃん今フラッフラなんだから、料理禁止ね!」
