第2章 暗闇の中で
廊下には明かりがついている為か、それが後光のように首領…改め森鴎外を輝かせている。
「久しぶりだねえ!はい蝶ちゃん、いきなりだけど離れてた時の分から選りすぐったワンピースとドレス…それと京都で買ったばかりのフリル付きの着物だよ!」
首領からは、忘れる事も出来ないような素敵な素敵な笑顔が服と共にプレゼントされた。
『ボ、首領、お久しぶりです私も会えて嬉しいです…けど、こんなにいっぱい着ると私疲れちゃいますよ、なんて』
なんとかこちらも笑顔を保ちながら返事をする。
自分の意思はしっかり伝えるのよ、蝶……!
「そうだね、今日は確かに君はお疲れだ。……じゃあパジャマタイプのものにしようか!」
恐るべし首領、そこまで用意していたか、!
取り出されたのはリボンやレース、フリルが満点の、何ともメルヘンチックなワンピース型のパジャマ…らしい。
フリルが満点と言っても、首領にしては珍しく、大人しめのものだ。
意外にも可愛いなんて思ってしまった。
しかし着るのは恥ずかしいし、しかも中也さんの目の前でワンピースだなんて…
『ち、中也さん、…』
助けを求めるも、中也さんは何故か耳を赤くしてそっぽを向いていた。
絶対気づいてますよねえ!?
「ん?……ああそうか、この服は中原君の選んだ物だったね?」
「ちょ、首領!それは内緒にって………あ、」
やってしまったというような顔の中也さん。
でもそうか、中也さんが選んだのならこのセンスには納得だ。
「恥ずかしがらなくてもいいじゃないか、あれだけ蝶ちゃんに似合いそうなものをって悩んで探してたんだから」
「ああもう言わないで下さいよ!!」
服を手に取って握りしめ、中也さんに向き直る。
『あ、あのこれっ……ありがとうございます、きっ、着替えてきますねっ』
「あ、蝶!!」
走って別の部屋へと移動。
何だろこれ、恥ずかしいけど、中也さんが選んでくれたんだと思うと嬉しすぎて逆らえない。
『着替えたら戻りますからっ!』
バンッと音を立てて入った部屋は、
「……あれ、蝶ちゃん!?」
イリーナ先生もいる女子部屋でした。
『あ、カエデちゃん……皆も、心配かけてごめん、もう元気だよ!』
「元気そうでよかったよ!こーんな可愛い部屋着持ってきてどうしたん?」
悪魔の様な笑みで服をヒラヒラさせる中村さん。