第2章 暗闇の中で
彼の言葉に目を見開く。
『一緒に、住む……また、?いいんですか?』
「当たり前だ。元々、離れてさえいなければ今だって一緒に住んでたんだし、何もおかしい事なんかねえだろ」
当然のようにして言う中也さん。
確かにそうだ。
そうなのだが…
『でも中也さん、私今探偵社の人間です。…太宰さんに縋り付いてポートマフィア以外の組織にいるんです、そんなの首領や他の人達が』
「許すさ。もう許可はとってある」
遮って答える中也さんの目は真剣である。
というか、もう許可とってあるだなんてどれだけ根回しがいいんだこの人は。
そこまでして一緒に住んでくれるだなんて、嬉しいことこの上ないのだけれど。
『……でもまだ、探偵社の方に連絡してません…許可がおりるかどうか』
「ああ、そっちの件に関してはもう太宰が解決してるらしい。お前が芥川と接触したあたりで、社長にもう許可をもらったと聞いた。」
驚いた、太宰さんはどこまでの事を見越しているのだろうか。
あの人には本当に感謝しかない。
『じゃ、じゃあまた、お世話になります…?』
「おう。な?これでずっと一緒に居れんだろ?まあうちと探偵社とは色々と敵対してはいるが……お前に関してだけ言えば、ポートマフィアは味方につく。だからそこだけは不安にならなくていいぞ、なんせあの首領だからな」
あの首領、そう聞いて思い出されるのは、小さい頃に着せ替え人形のようにして色んな洋服…それも首領の趣味のものを着せられていた事。
ああそうか、あの人の基準私とエリスちゃんだっけ。
『なんか、色々想像出来たのでこのへんで想像するのやめときます』
「それがいい。……けど、今日は俺達もここに泊まる予定なんだが」
ん?今中也さん、俺“達”って言った?
『中也さん、一人で来られたんじゃないんですか?』
「あ、ああそうだ。これもまあ大体想像がつくだろうが、下級構成員数人と……首領も来てる」
首領が来ているという事実に冷や汗が背中を伝った。
『首領、何か荷物持ってきてました?服、とか』
そう聞くと、今度は中也さんが固まった。
「………服は三着程と、後は昼間に京都で色々買い込むって…まさか、」
『に、逃げなきゃ…全力で逃げなきゃ、』
立ち上がって誰かに匿って貰おうと部屋から出ようと扉を開ける。
「誰から逃げるんだい、蝶ちゃん♪」
あ、詰んだ。