第9章 天からの贈り物
「グッ、変態は応えるものが……ってなんでまた変態扱いされてんの僕!?」
『乙女に不意打ちでおでこにキスする人なんか変態で十分です変態で!!』
「で、でも口は避けたんだよ!?すっごい我慢したんだからね僕!!」
『口って……ッ!!!当たり前でしょう!!?やっぱ馬鹿!!!』
ちょっとジョン君、蝶ちゃんに何か言った!?と慌てるトウェインさんに、ジョンさんはニヤついた顔でさあ?とはぐらかす。
有り得ない、こんな乙女の敵に私が懐いてるだなんて…
しかし思い返すのは、先程悔しいくらいに安心してしまって自分の方から抱きつきにいくといった行動を起こしてしまった先程の自分。
『……!違う違う!!絶対無い!!』
「だから何が!?いいからとりあえず血液どうすればいいの!?」
言われて本題を思い出して、デスクの椅子に座るドクターに顔を向ける。
「…夫婦喧嘩はこれくらいで終わりかね?」
『なッ…こんな人旦那さんじゃありませんから!!!』
「酷ッ!?いや知ってたけどさ!!?」
気を取り直して血液の説明へ。
『私のやつをビーカーの方に入れたんで、そこにトウェインさんのを入れてくださればすぐ分かります。…混ぜていただけるともっと分かりやすいですけど』
トウェインさんの方を向いてむっとした顔のまま見つめていれば、何かを察したのかこちらに来てくれた。
「何何蝶ちゃん、やっぱトウェインさんと一緒にいたくなっちゃった?」
『うるさい、静かに大人しくいいようにされてて』
「地味にデレ入ったよね今、何気にデレてっ…」
キュ、とトウェインさんの服の裾を掴んで手を震わせていれば、トウェインさんはそれに自分の手を重ねて、再び頭を優しく撫でてくれた。
「混ぜるって、血液を調べるんなら詳しく見た方がいいんじゃ…ッ、これは……」
一滴、触れさせただけでもう反応が出たのだろう。
ドクターの顔に冷や汗が流れ出ている。
『…一滴だけでも分かってもらえたと思いますけど、輸血になるとそんなものじゃないでしょう……?……全部、入れてみてください』
私の言葉でジョンさんもトウェインさんもビーカーに視線を集め、ドクターは既にゼリーのようになっているであろう私の血液に、トウェインさんから採取した血液を全て流し入れる。
そして私の言うようにガラス棒で混ぜると、有り得ない事態が発生した。
