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第9章 天からの贈り物


それがよく分かっていなくてとドクターの声が響き、今私が貧血であるという事をジョンさんが伝える。

「本人は軽いって言ってるけどどう見たって軽くなんてなさそうだし、聞けばろくな食事もとっていなかったらしい。それで、こんなに顔色も悪いしもしかしたら輸血をした方がって思ったんだけど……」

再び輸血という単語を耳にして、思わずトウェインさんの首元に腕を回して抱きついた。

『やッ…、やだぁッ……!!』

「蝶ちゃんも落ち着いて…、嫌でもした方がいいんなら」

『絶対にダメッ、輸血なんて絶対にしちゃダメッッ!!!』

私の必死さに流石のトウェインさんもただのわがままだとは思わなかったのだろうか。

「…血に、何かあるの?」

『ッ、言いたくない…っ、血、混ぜたら分かるから…』

「よーし、それじゃあ血液型も同じって事だし、トウェイン様が協力してあげましょう!いい子にしてちょっとだけ待ってて、白桃ゼリーもちゃんと用意出来てるから、後で一緒に食べよう!」

私の羽織っている中也さんの外套を深く羽織らせ直してから、よしよしとあやすように撫でて私を落ち着かせる。

私の体質によるものだと悟ったのだろう、恐らく人体実験の類のものだって事は、トウェインさんにはもう伝わってる。

「じゃあ採血…ドクター、ちょっと別室で血採ってもらってもいいかな。蝶ちゃんにはあんまり見せないであげてほしい」

「構わないが…」

「うん!じゃあ蝶ちゃん、ちょっとだけ待っててね。すぐ帰ってくるから」

おでこに一つキスを落とされ、私が呆然となったのを確認してか、ビーカーをデスクの上に置いてドクターと一緒に部屋を移動してしまった。

『……え、っ?あの人今私に何してッ!!?』

「こりゃあ凄い、トウェインは何やら君に相当やらかしたって心配していたようだったけど……なんだ、結構懐いてるんじゃないか」

『懐っ!?』

確かに散々色々されてきた後だけれど、それでもやはり不意打ちでされるとこうなってしまう。
だけどそっちに意識を持っていかれたおかげか、少しだけ落ち着けたような気がした。

トウェインさんの事をジョンさんと話しているうちにドクターとトウェインさんも戻ってきて、トウェインさんがすぐに私の元に戻ってきてくれる。

「お待たせ愛しの蝶ちゃん!いい子にしてたかい!」

『子供扱いしないで馬鹿!過保護、変態!』
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