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第8章 空白の時間


立原に話終えるとやはりイリーナ・イェラビッチと同じような反応を見せ、何を想像したのか顔色を悪くしていた。

「まあ、そういう事だ。あいつが生まれてもうどんだけの月日が流れてんのかは知らねえが…軽く数百年は死ねずにいる。あいつ自身、自分が死ぬ方法をいくら模索しても見つけられなかったらしい」

「そ、んな事って……ッ、それじゃああいつの今の見た目を考えると、実験中にも殺されてたって事っすか!?」

「まあ、そうなる…パソコン借りるぞ」

ポートマフィア内に設置されているコンピューターは全て繋がっており、幹部クラスになればどのコンピューターからでもパスワードとIDを入れて自身のパソコンに繋げることが可能になる。

立原の了承を得て自分の執務室にある二つのコンピューターの内、誰にも見られないよう奥底の方に隠してある方に繋げた。

「俺はあいつを攫ってった時から、首領…以前は組織の医師だった森さんから頼まれて、あいつの情報を纏めていた。勿論報告しなくてはならないようなものだけしか報告はしてなかったが……蝶の事なら、実験の内容も結果もそん時の様子も、全て実験施設から奪い取ってきてる」

「そん時の様子って…映像まで……っ!?いったいこんなにあるもんのどんだけを…」

「あ?何甘ったれたこと言ってやがる…全部だよ。俺はあいつを連れ帰ってから、暇を見つければ記録に目を通し続けた。本人から聞くことも少しあったしな」

全部、と言うと、また立原が顔色を悪くする。

「全部…?幹部、これ…全部見たって言ってんすか?」

「当たり前だろ、あいつの事を理解しきるためにはって言い聞かせて、ちゃんと全部見たさ…反吐が出るほどクソみてぇな記録だったがな。蝶に思い出させるような事もしたくなかったし、あいつが怖がるようなものも知っておかなけりゃならなかったから」

「で、でも俺、幹部から聞いてなかったっすよ…?こんな、おぞましい内容の実験がこんなに大量に行われてたなんて」

ファイルに分けてあるうちの一つしかまだ開いていないのだが、確かにそれでも異常なほどのレベルと量だ。

「一般人にゃとても説明なんか出来ねえようなもんだっつったろ?あいつも恐らく、カルマ達にここまで詳しい事は話せねえよ……見たけりゃ見てみるか」

立原は恐る恐る頷いて、今回の話にも出ていた卵子に関する実験のレポートを開いた。
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