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第8章 空白の時間


突然声を大きくした人虎に肩をびくつかせてそちらを向けば、お目付け役さんですよね!と笑顔になってやがる。
なんだこいつ、実は太宰の野郎とは全然違って、常識があるいいやつなんじゃねえのか。

「お、お目付け役…昔はそんなもんだったな。蝶から聞いたのか?」

「あ、お目付け役ってのは太宰さんからです!蝶ちゃんからは自分を育ててくれた大切な人で、大好きな人だって聞きました!貴方の事を話してる時の蝶ちゃんいつもより本当に可愛くて、見ててこっちまで幸せになりましたよ」

人虎の言葉に内心思いっきりガッツポーズをしたい衝動を抑えて、ちらりと黒蜥蜴の三人と樋口の方を向く。

「か、幹部、良かったっすね」
「やっぱり蝶ちゃんはどこでも中原さんが大好きですからね」

「はっ、まあな!!どうだ糞太宰、まあ僻む気持ちは理解するが、蝶は俺のもんだからこれでもうベタベタくっついたりはするんじゃね……ぇ…っ!!?」

どうだと勝ち誇ったような笑みを浮かべて話していると、その場に昨日別れたばかりのはずの蝶の担任が現れる。

俺と太宰以外の奴らは突然現れた黄色い巨大タコになんとも言えない表情を浮かべていて、蝶の担任の国家機密の超生物だとだけ言えば、ああ…と納得される。

「ヌルフフフ、太宰さんに飽和チャフの件で手伝いを頼まれまして。ついでに道路の補修や瓦礫の撤去などを済ませて来ました」

「お、おう、それはご苦労さん……じゃなくてだな!?手前国家機密だろうが!?そんなんでまた烏間さんが苦労するんだろ!!」

「大丈夫です、烏間先生ならなんとかしてくださります!!」

この溢れ出る太宰治臭。
間違いなく同族の類だこいつは。

「はぁ、糞太宰が二人になった気分だぜ…んで、人虎。手前、ポートマフィアの人間に伝言があるっつってたな?組合からか?」

「!い、いえっ、それが蝶ちゃんからでして…ごめんなさい、私は大丈夫ですって言ってました。」

僕からしてみればぜんぜん大丈夫そうには思えなかったんですけど、助けるな、太宰さんが全部分かってるだろうから余計な事をするんじゃないって追い返されちゃって…

そう続けた人虎の言葉に一部引っかかって、相手を再び睨みつけた。

「あいつが何を企んでんのかは知ってるからいい…が、手前今、大丈夫そうになかったっつったな?何を見た。あいつは、何をさせられてる」
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