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第8章 空白の時間


場所を伝えられて走って駆けつけて行ってみれば、樋口が携帯を構えて写真を撮っており、その目の前には立原と広津さんと芥川の妹が。

「立原に何があった!?すぐに拠点……に…………」

しかしあるものを見てすぐにフリーズする。

そう、勿論立原がと聞かされていたために立原を見たのだが、立原が持っているものが問題だったのだ。

「ベビーカーに……餓鬼?」

地面には芥川の妹が書いたのであろう、おめでとうという文字。
そして樋口が写真を撮っている…

「違うんすよ!これはさっきいきなり人虎が現れて、そいつに押し付けられただけでっ!!」

頭が痛くなってきた、そういう事かよ。

すぐさまあたりを捜索すればすぐに子供を探しているという女が見つかったので、樋口の元へ連れて行き、立原の連れていた餓鬼を確認させる。

どうやらその女で間違いはなかったらしく、本当にありがとうございましたと泣いて喜ばれた。

そんな状況だ。
さあ、これはどういう茶番だ?

目の前に黒蜥蜴の三人を座らせて仁王立ちし、口角をピクピクさせながら口を開く。

「手前らの所属組織何だか言ってみろや」

何一般人に感謝されてんだよ、びっくりするくらい泣いて喜んでたぞあの保護者。
つかそんな事になるんならとっとと保護者くらい探せっつの、本当に何の茶番だったんだ。

ぽ、ポートマフィアっす…とか細い立原の声が聞こえたかと思えば樋口が戻ってきて、突然俺の後ろ側に向かって銃を構えた。

その音に三人も立ち上がってそちらに向かって武器を構え、俺もそちらを振り返る…そう、振り返ってしまった。

「ご無沙汰だねえポートマフィア諸君と防止置き場!」

酷くその場に不釣り合いな陽気な声が響いて、俺以外の四人は先程の俺のようにフリーズする。

「てっめえ…どの面下げてこんなところまで来やがった、ああ!?殺されてえのか!!?」

「ああもう煩いなぁ、折角組合の拠点から無事に戻ってきた敦君が、伝言を預かってきたからポートマフィアの誰かと会いたいって言ったからわざわざ来たのにさあ?」

「敦?そりゃ確か人虎がどうとかいう……!まて、手前…今組合の拠点から戻ってきたっつったか」

糞太宰の背中からおずおずと出てきたなよっちい餓鬼を睨みつけ、四人に武器を下ろさせる。

「ひぃっ!?…そ、その……っ、なんで睨みつけられて…!?」
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