第8章 空白の時間
手枷の次に足枷を外そうとトウェインさんがしてくれるのだけれど、何やら上手く外れそうにないらしい。
鍵は合ってるのに開かないんだとか…
『と、トウェインさん?私自分で外そっか…?』
「うーん…もうちょっと待って、意地でも自力で…!ドレスのすそ噛んじゃってる、これだ」
『よかった、見つかっ……ッ!?ちょっ…!!?』
見つけた!と言わんばかりの笑みをトウェインさんが浮かべた次の瞬間、バサッと勢いよく腰元まで捲られるスカート。
それと一緒にふくらはぎに触れられて、変な声が出そうになった。
「え?どしたの蝶ちゃん、そんな恥ずかしそうにして」
『な、なんでもッ…ぁ、っそこあんまり触らないでっ』
言えばビクリとトウェインさんの手が震えて、その振動でまたゾワリとする。
薬の効果は切れてるみたいだけど、さっきまであれだけ敏感にさせられてたから…?
「そこって…え、ここふくらはぎじゃ……」
『なんか擽った…っ!!!』
擽ったい…というよりは変な感覚。
そんな中、スカート部分が捲られていたということをようやく思い出して、バッと慌ててスカートを抑える。
するとトウェインさんが一瞬フリーズして、みるみるうちに顔が青くなっていく。
「ち、蝶ちゃん……今のはわざとじゃなくってですね?」
『………鍵貸して』
「はい…」
結局自分でやったらすぐに枷が外れて、ドレスの裾も無事だし大丈夫だった。
「え、まって、なんであんなの開けれたの蝶ちゃんつよい」
『あんなの開けれるよ。ていうか私、そもそもピッキング技術とか独自で開発するような人間だし』
「初耳なんですが」
『年季の入り方が違うからね』
少し勝ち誇ったような顔をしてふふん、と言えば、何故だかまたもや撫でられる。
見るとトウェインさんはなとも言えないような緩んだ笑顔を浮かべていた。
『…何?』
「うーん?いやね?可愛いなぁって」
言いながらほら、と指を刺され、そちらに顔を向けると、束ねた髪の途中に枷が……って、
『……えっ?いつついたのこれ!?私すぐに外して置いといたはずでっ』
恥ずかしさに慌てて取ろうとするも、焦りすぎて上手くスムーズに外せない。
「うん、貸して。多分今の蝶ちゃんよりは僕の方が外せると思うから」
『違うの!これは別に…っ、枷が勝手にくっついてたの!!』
「はいはい」
