第8章 空白の時間
トウェインさんとフランシスさんに連れてこられたのは私用に用意された部屋。
ベッドの上に座らされて、何かと思えば壁やベッドの下から枷が取り出される。
枷…しかもちゃんと鎖で繋がれてて、本当に暫く動けないようにさせられてしまうらしい。
身体の感覚がおかしくなるって、気持ち悪くなったりするものなのだろうか。
それとも、どこか本当に苦しくなってしまうようなもの…?
大体の薬には耐性もあるし、そこまで効かないものだったら私が本当に気を失ったふりでもなんでもするところなのだろうが…
『っ、…何……?』
スカート部分の裾を少し上げて素足を膝程まで出され、両足首にタオルが巻かれる。
「痕になっちゃいけないから」
そしてその上から、まずは両足に枷がはめられた。
カチャ、と言う音が余計に私を緊張させる。
『…どうせすぐに治るのに、そんなの』
「そう悲しい事を言うんじゃない」
「手は…上に上げてもらえるかな。疲れさせちゃうけど、下にいかないようにさせてもらうから」
言われた通りに、素直に両腕を上げて、枷がはめられるのを待つ。
大丈夫、痛い事をされるわけじゃない。
ちょっと辛くなるだけ。
ちょっと身体がおかしくなるのに耐えればいいだけ。
足首と同じようにそこには分厚めの包帯が巻かれて、その上から枷がはめられた。
ちょっと手とか足とか動かしてみて、と言われて動かそうとしてみるも、どれもカチャカチャと音が鳴るばかりで殆ど動かす事は出来ない。
「うん、大丈夫だな。痛くないか?」
『大丈夫です…』
大丈夫だと言えば、トウェインさんは先程私に見せていた小瓶を再び取り出して、その蓋を開けた。
「ちょっと顔を上に向けてもらっていい?……そう、ゆっくり飲ませるから、無理しない程度に飲んで」
言われた通りにすると、少しずつ、透明な液体が口の中に入ってくる。
なんだろう、不思議な味…
それを少しずつ飲んでいって、あまり気は進まなかったけれど、ちゃんと一瓶分飲みきった頃。
「じゃあ、俺はそろそろ出ることにする。トウェイン君、彼女がいくら辛そうにしていても、楽にしてやってはいけないよ。虎の少年と話をつけるまではな」
「……はい」
フランシスさんが部屋を出ていき、それと同じくらいに、なんだか自分の身体が熱くなってきたように思い始めた。
あれ、なんかこれ…前にもあった…?