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第8章 空白の時間


『あ、の……ッ、そ、そこそんな触らなっ…ヒャッ!?』

「……その調子では一向に外せそうにないのだが」

フランシスさんに食事を終えてからルーシーさんと一緒に相談しに行ってみたところ、フランシスさん本人の監視付きという条件で承諾していただけた。

のはいいのだが。

『だ、だって弱、いッ……から…あっ』

「俺もこれを外そうという試みは初めてなんだ、何せどう足掻いても外すのに時間がかかるように設計されているし…」

相手に悪気がないだなんてことはよく分かっている。
今部屋に戻ってきて首輪からセンサー機能を外すために、コンピューターと首輪を同時にフランシスさんが弄ってくれているのだが…

『ひぁ、ッ…あ、ダメっ、指付けちゃ…』

元から色々と感覚が鋭敏な上に首周りだけは特に敏感な私の肩は、少し指で触れられたり髪を動かされてそれがゾワリと当たったりするだけで、ビクビクと跳ね上がってしまうのだ。

「…ミス白石、本当に大丈夫かい?」

私の反応に戸惑って、さっきからフランシスさんも手をちょこちょこ止めている。
今もピタリと止めてくれて、それで安心してクタリと身体から力が抜けてしまう。

『だ、いじょうぶ…です……』

自分の髪が自然に触れても、自分で触っても大丈夫なのに。
これを狙って触られているわけでもないのに敏感に反応してしまうこの身体が嫌だ。

息も途切れ途切れになるし、変な声は抑えられないし、変な気分になってくるし……中也さんを思い出すし。

「ふむ、しかし俺もそういう反応をされてしまっては、悪い事をしているような気分になってしまう。本当に大丈夫なのかい?次はもう止めないぞ?」

少し間を置いてからコク、と小さく頷いて、声を抑えるようにと身体を力ませる。

ギュッと目を瞑って刺激に耐える準備を整えると、またカチャリと音を立ててフランシスさんが首輪を触り始める。

『……ッん…っ』

両手を口に当てて耐えろ耐えろと肩を震わせる。
動いちゃってもまた変なところに指が当たっちゃうし、でもやっぱり身体が跳ねちゃうしで、暫くフランシスさんの作業に耐えていた時。

「…!……よし、外れたぞ」

『…おわ、ッた……?…ッひゃ、っ』

首輪がパカリと外れ、それをフランシスさんが私に見せる。
そして、少し怖かった作業から解放されたかと思えば、頭をよしよしと撫でられた。
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