第2章 暗闇の中で
カルマ君と話した自動販売機前まで走ってきた。
『は、はぁ……っ、』
「あのー…蝶ちゃん、そろそろ離してもらえると助かるかも」
え?と声を漏らしてカルマ君の方を向くと、まだ掴んだままにしていたカルマ君の腕。
『あ、ごめん…!そうだ、カルマ君!今回の事もだけど、さっきここで話した時……ごめんね、私頭の中ぐっちゃぐちゃになってて…』
「あ、うん。俺全然気にしてないし、そんな感じのことだろうと思ってたから大丈夫だよ?でもわざわざありがとう…ほんっと、律儀だよね」
そう言うとクックッと喉を鳴らして笑われる。
まって、どこが君のツボだったの?
私が考えていると、あ、それと…と今度は何やら聞きたいことがある様子。
「さっき部屋の中に入ってきた時の様子だと、ちゃんと話せたんだね、中也さんと」
『え、中也さんと!?そ、それは勿論ちゃんと話せ…たよ』
思い返すのは、抱きついた事や泣いたこと、そして中也さんの手に擦り寄って散々甘えた挙句に、中也さんの鈍感さによって助けられたものの危うく告白しそうになったこと。
……どこがちゃんとした話だ!!
「…うん、何か色々あったって事だけは察したよ。で、蝶ちゃん?もしかしてだけど中也さんってさ、天然?」
『!多分…いや、私もさっき初めて知ったんだけど、本当に天然なの。天然すぎてちょっと悲しくなってきたから鈍感って思うことにしてる。』
「だよね、だってさっきの…“蝶が一位ってのは疑問に思わねえが”って、完全に溺愛してる感じのアレだもんね?」
思い返すとまた恥ずかしくなってきた。
『ね、あんな言い方されると勘違いもしそうになっちゃうよね、!』
「あれ、でも一応溺愛はされてるんじゃない?」
『溺愛って…でも何で?』
聞き返すと、意味は違うかもだけど…と続けるカルマ君。
そんな彼の言葉に少し虚しくなってきた私はうん、と遮った。
『中也さんはね、私のこと大切に思ってくれてるの。でもね、結局私の大好きと中也さんの大好きは違うから…多分小さい頃から面倒見てもらってきたから、中也さんからしてみたら私なんて、そもそもそういう対象に入ってないのかも』
「……でも諦めないんでしょう?いいじゃん、四年も離れてたら、今の蝶ちゃんを見て単純にそうは思えないと思うよ?」
『そ、かな?うん、私めげずに頑張るよ』
彼は本当に頼れる友達だ。