第2章 暗闇の中で
中也さんの片腕に引っ付いたままの状態で向かったのは、男子の部屋。
襖を開けると、男子達の目が一斉にこちらを向いた。
そして、何故かとても焦った様子の男子一同。
『え、と…カルマ君探して来たんだけど、入らない方が良かった?』
「か、カルマ!?カルマならそこにいるぜ!」
岡島君に指さされた方向に目を向けると、確かにそこにはカルマ君の姿が。
ありがとうとお礼を言おうとすると、いつの間にか男子達の輪の中に入っていってた中也さんが、気になることを言い始める。
「んだこれ?特別枠で第1位白石 蝶…3年E組 気になる女子ランキング?」
声にされた瞬間吹き出した男子諸君。
え、何してたの君達。
「おい、これもう少し詳しく聞かせろ手前ら。蝶が一位ってのは別に疑問に思わねえが、特別枠ってのが気になる。」
ここで飛び出してきたのは中也さんの問題発言。
今の発言で、私を含めたその場の全員が固まった。
寺坂組の三人が一斉に私の方を向き、前原君と岡島君は小指を立てて私に確認を行い、カルマ君に至っては両手でハートマークを作り、小首を傾げてこちらにニヤついてくる始末。
『ち、違う!まだそんなとこまで進展してなっ…』
勢いで反論すると、今度は中也さん含める全員が私の方を凝視する。
「蝶、どうした?そんなでけぇ声出すなんて珍しいじゃねえか。」
中也さんから問われるが、こんな状況じゃどこからボロが出るかわかったものではない。
下手なことも喋れないし、皆興味津々そうに……というより、私の心中を見透かしたようにニヤニヤしながらこっち見てるし。
『い、いやあの、その…っ』
「えーどうしたの?もしかして体調でも悪くなっちゃったとか?」
恥ずかしくなって俯いていたら、こちらに近づき顔を覗き込んできたカルマ君。
そしてそのせいで、変な所で天然…悪く言えば鈍感な中也さんは本気で私を心配して、私の目の前で膝立ちになっておでことおでこをくっつけた。
……ん、くっつけた、?
『…ぁ、ぇ……!?』
完全に頭がショートした。
男子達からのからかいの目もあり、顔に熱が集中するばかり。
だ、だめだこれは。
とにかく男子達と……何よりも中也さんから逃げないと心臓がもたない!!
逃げることしか考えられなくなった私はカルマ君の腕を掴んで
『だ、大丈夫ですから!!!』
と部屋を走り去った。