第7章 克服の時間
「おい、何かの冗談だろ…っ!?なんで、なんでまたあいつが!!!」
「いなかったのかい!!?中也、落ち着いて状況をッ」
「あいつがいなくなっててどうやって落ち着けだなんてほざいてやがんだ手前は!!?」
頭に血が登ったように太宰に向かって怒鳴り散らせば、先程扉を破壊した音も聴いたからか、なんだなんだとE組の奴らも集まってくる。
「……っ、中原さん、我々にはさっぱり何が何だか…」
「烏間さん…ッ、蝶の取引相手を、蝶は確かにフランシスと呼んだんだな!?」
烏間さんも担任もそれを肯定し、餓鬼共の方を向いてもそうだという反応を見せる。
「クソッ…クソッ!!!最初から全員あいつに騙されてたってのか!?枷が付けられたって聞いた時から疑問には思ってたんだ……!!!なんで俺は気が付かなかった!?これじゃあもう昨日の時点で間に合ってなかったって事じゃねえか!!!」
「中也、蝶ちゃんの携帯だけれど、私がどう足掻いても探知すら出来ないようにされている。それに今日、横浜ではQが組合に攫われたらしい」
「じゃあ何だ!?手前は蝶を追うのを諦めて、俺に横浜に戻ってこいっつってんのか!!?」
「彼女の事を思うのであれば聞くんだ!!蝶ちゃんが今敵の拠点にいるのなら、彼女も横浜にいると言っているんだ!!!」
太宰の言葉にようやく頭が冷静になり、声を出すことも出来なくなってフリーズする。
「ち、中也さん。今の話、蝶ちゃんどっかに行っちゃったって事…?」
「カルマか………手前らにも説明しなけりゃならねえな」
出来るだけすぐに横浜に戻る、首領にも伝えておいてくれ。
太宰にそれだけ言って電話を切り、烏間さん達に向き直る。
「取り乱して悪かった。順を追って説明する…まず昨日、手前らが山頂のホテルに潜入していた時、取引相手が現れて蝶は一旦手前らと離れてその相手と話をしたんだな?」
「そうだ、ひどく必死な様子だったのはよく覚えている」
「…じゃあその取引相手の話の前に、手前ら俺が異能力者でポートマフィアの人間だっつう事はもう知ってんだろ?蝶から許可は取ってねえが、先に言っておくぞ」
大丈夫だ、ここの奴らは、あいつを非難するような奴らじゃない。
一息置いて、あいつが今まで隠してきていた事を俺の口から全員に伝えた。
「あいつは秘密にしてたらしいが…白石蝶は、武装探偵社の社員なんだ」