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第2章 暗闇の中で


でも、その行為…そして表情で、分かった。

『……はい、同じ…です、』

目を細めて嬉しそうに笑ってみせる。
困らせちゃだめ、中也さんにだけは、悟らせちゃだめ…

だって、私の“大好き”と、中也さんの大好きは、“違う”から。

「いきなり素直になられて驚いた…心配しなくても、俺が蝶の事嫌いになったり、忘れたりなんてしねぇから」

すごく嬉しいことを言われている。
言葉にされる事で、安心も出来る。

ただ、すごく辛い。

『中也さんに忘れられたら私、生きていける自信がないです』

「おいおい、手前が言うとそれが冗談に聞こえねえんだ…が……」

本気だよ。

私は中也さんのこと、ずっとずっと“大好き”なの。

貴方の大好きが、他のものよりも私を大切に思ってくれての大好きだということは、分かっているしとても嬉しい。

でも、私のこの想いが伝わっていないのは……とても辛い。

「ち、蝶?泣くなよ、そんな事絶対ねぇんだ、な?」

『ふふ、ごめんなさい…嬉し涙ですよ!』

好きな人に嘘なんて、吐きたくはないのだけれど
こればかりは仕方ないよね

笑顔に全ての思いを閉じ込めた。
貴方は気付かないままでいてくれるだろうか。

「…そうか。」

『じゃあ私、カルマ君のところに行かないと…さっき、ちょっと酷い別れ方をしてきちゃったので、』

早く中也さんから離れたくて言った言葉だった。
勿論カルマ君のところに謝りに行くつもりはあったのだけれど。

立ち上がって、中也さんの手を離れると、待てと言って片手を優しく掴まれた。

「俺も行く。赤羽には今回、世話になったし…それに、」
『……それに、?』
「…折角お前に会えたんだ、もう少し一緒にいたっていいだろ。」
『!…はい、じゃあ、行きましょ!』
「うお、!?引っ張んなって、!」

そんな事言われたら、ちょっと期待しちゃうじゃないですか。
でも今は、何よりも中也さんから私と一緒にいることを望んでくれたのが嬉しい。

普通の男の人よりは小さい方だけど、私よりも大きい中也さん。
四年も離れてて、体格が前よりしっかりしていて、男の人になっていっているのが見てとれた。
そんな彼の腕を両手で引っ張って、部屋から出た。

明るい所で彼を直視するのは4年ぶりで、その愛しさに口が動かなくなってしまいそう。

だからまだ、無邪気な子供のふりをしていよう
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