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第7章 克服の時間


結局あれから夜になってみて部屋に向かい、再び耳をつけてみるも、蝶の声が聴こえた。

内容が探偵社での取引なだけに聞きたい気持ちはあるのだが、蝶がしているのであれば迂闊に邪魔も出来まい。
探偵社はそれを狙って蝶に取引役を頼んだのか…?

夕食を終えてE組の奴らも部屋に皆戻り、寝静まった頃の事だった。

「!……ああ!?なんで今あいつが…………って、俺が昨日連絡入れたからか」

太宰の野郎から電話がかかってきて、仕方なしに……蝶の事であろう話をするために仕方なく、本当に仕方なく電話に出た。

「なんだよ青鯖、電話なんかしてこなくともメールでいいだろ、メールで」

「それどころじゃないんだよ中也、君は蝶ちゃんともう会ったかい?」

妙な質問をする太宰に首を傾げる。

「あ?蝶なら探偵社の方の取引相手とやらと交渉中らしくて、部屋に昨日からずっと閉じこもってんぞ?何時間かおきに大丈夫か心配になって部屋の前まで行ってるが、話し声もしてるし大丈夫だろ」

しかし、俺のこの発言に今度は太宰が驚いたような反応を見せた。

「何…取引?探偵社に取引相手など、いたとしても軍警か異能特務課くらいだよ?それなら横浜で済ませられるし、何より学校行事に行かせている蝶ちゃんにそんな事を頼むはずがないだろう?……!中也、すぐにその取引相手とやらの事を烏間さんに確認しに行くんだ!!」

「は、?いや、でも烏間さんも餓鬼共も皆取引相手を見たって…」

「いいから!早く聞きに行ってくれっ……蝶ちゃんの携帯にどうやっても繋がらないんだよ!!」

太宰の言葉に嫌な予感がして、すぐに烏間さんの部屋に行き、烏間さんを呼ぶ。
すると同時に担任も出てくる。

「中原さん、どうしたんだ、顔色が悪いぞ」

「か、烏間さん…担任でもいいっ、蝶の取引相手とやらと会ったんだよな!?そいつの特徴、教えてくれねえか」

「あの外国の男性の方ですね?確か異能力者の…ああ、白石さんが確か一度だけ、“フランシスさん”と呼んでいたのは耳にしましたよ?三十代前半あたりの、収入がかなり良さそうな方でした」

担任がすらすらと答える。
しかし、その名前を聞いて、俺も太宰も絶句するしかなかった。

「フランシス…?今、フランシスって言ったのかい?」

「フランシスだと!!?おいおいどういう冗談だ、あいつは…ッ、蝶はいったい、何考えてやがる!!?」
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