第7章 克服の時間
「貴女、なんで今生きてる理由が分からないの…?なんで生きてるのかって、そんなの、生きる理由が無いみたいな…」
ルーシーさんに言われて、さっきまで考えてもいなかった事が次々と思い出されてくる。
『生きる必要なかった、誰かと過ごす必要なんか、なかった……だって私、死にたかった…死にたかったはず、なの。なのに…なのに、なんで自殺もせずにのうのうとこんな身体になるまで生きてるの!?』
「蝶ちゃん、自殺なんて言わないでくれ!!君の気持ちは想像することしか出来ないけど、辛いのはちゃんとわかってるからっ…」
『ねえ、トウェインさんっ…やだよ、なんで私、誰かと縁なんて作ってるの!?もうずっと人と関わりあってなんかこなかったの!!大事な人を…先に死んじゃったら嫌な人を、作らないようにってしてきてたはずなの!!』
訳の分からないこの状況に、首を何度も何度も横に振る。
なんで私、今まで大切な人を作り続けてきてた?
なんで私、身体がここまで成長するくらいにまで、生き延びてきた?
私の中で考えられる、一番に私に親切にしてくれている人は太宰さんだ。
小さな頃からずっとずっと、変な人だったけれど私が出会ってからは軽口を叩きつつも良くしてもらってきて…違う。
『太宰さんじゃ、ない…太宰さんと最初からあんなになるはずがない。私が最初に心を許した人が太宰さんなら、心中に誘われる度に私は死んでる…今だって、死んでるはずだ』
「蝶ちゃん、死ぬなんて言わな『だって、生きていたくないんだもの…仕方ないじゃない、っ、死にたくて死にたくて仕方が無いのに……居心地のいい場所なんか作ってるのよ!?また、馬鹿な事をしてるのよ!?』……ルーシーちゃん、また今度僕が説明するから、今は詳しく聞かないであげて」
「!……相当何かあるのは確かみたいだけど…ねえ、逆に分かることって何がある?それだけ考えて、挙げていってみて」
ルーシーさんの言葉に少し冷静になって、一つ一つ、考える。
『半年ちょっと前に武装探偵社に入って学校に行き始めて…そう、修学旅行の日まではちゃんと分かってる。でも、高校生に拉致されたの、どうやってそこから逃げたのか分からない。それから帰って社員寮から出たのに、どこに住んでたか分からない』
「他、分かってることだけでいいから」
『………学校で友達と、暗殺について話してた事だけ』