第7章 克服の時間
「ええ!?じゃあ明日頑張って乾かさないとじゃん!そんなに気に入ったのこれ!?」
『そんなに気にしなくても…多分ね。この形好き』
さらりと裾に触れてみると、素材もよく触れていたものと同じであると気がついた。
デザインやメーカーこそ違うものの、この部屋着に愛着が湧いたのは確かだ。
……いったい何と比べてるんだか。
「そ、そう?うん、でも頑張って乾くようにしてもらおう!で、その…下着る『見せなくていいから』サイズ合ってるか分かんないんだけど」
苦笑いになりつつもどこかほんのり顔を赤くしているトウェインさんをじろりと睨んでから、仕方無く指示された引き出しを開けて、確認する。
『なんでこんな丁寧に全部揃ってるの………ねえトウェインさん。これ、誰の趣味?もしかしてトウェインさんが選んで「ません!!」じゃあ誰がこんなの用意するのよ!!女の子の下着よ!?さっきトウェインさんが合ってるか分からないとか言うから!!』
「僕がそんなの直視し続けられると思う!?下着の事は思いつきもしなかったけど、ルーシーちゃんがいるんじゃないかって言うから!!」
『結局手伝ってるんじゃっ…って、え?あれ、ルーシーさんって』
以前戦った時の記憶を思い出す。
確か、赤毛の女の人だ。
『よかった、組合にいられたんだ…』
「ああそっか、蝶ちゃん知り合いだったね。まさかあの子が他の子のために何かをするだなんて思わなかったけど…下着自体を選んで購入したのは彼女だよ。僕はこれくらいじゃないかなって言ったくら……い、で………」
トウェインさんの声が段々小さくなっていって、言いきった頃には私の目からは生気が抜けていた。
『…これくらいって?まさか目測のサイズなんて見てたんじゃないでしょうね』
「い、いや、目測でしか分からないよそんなの!?なんでそんな目線向けるの、不可抗力だってば、許して!!?」
本当に目で見てこれくらいではないかと判断したのか、この人。
何故だ、わざわざ小さく見えるものを購入して、制服の効果でも分かりにくいはずなのに。
だがしかしこれは下着のサイズ合わせ…というか確認だ。
トウェインさんからパッと顔を背けて、小さな声を振り絞った。
『…………ってる』
「だから僕はっ……あれ?なんて言ったの?」
『だ、だから!!…合ってる…………な、なんで目測なのに合ってるのよ!!?』