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第7章 克服の時間


「!やけにこの男が君を警戒していたかと思えば…何かあったのか」

『何も。ただ、私が個人でケリをつけたいだけです。だから、私が本気で相手ができるよう、皆の安全だけ守ってもらえませんか』

「どこまでも真面目…というか、人思いなんだな。いいだろう、非礼を詫びて実行しよう」

私の事を所有物だと言い切ったフランシスさんには、何故か前よりも少しだけ印象が良くはなっている。
この人の言う所有物というのは、きっと少しだけ特別な意味を持ったものなのだ。

人間としてただ悪いとか、そういう人ではないのだろう。
例えるならそう、理事長の浅野先生のように、自分自身の中にはちゃんとした芯を持っている…自分の思う正義を貫いているだけなのだ。

ありがとうございますと一礼してから、急いで屋上への階段を駆け上がる。
そしてそこに辿り着けば皆がいて、全員が一つの方向を向いて口を開けていた。

『!よかった、無事で…いったい皆して何を見て……!!』

見ると、そこへ渡る為に設置されていたような橋が破壊されていて、皆の目線の先のそこで、鷹岡が膝をついていた。
潮田君の目の前で。

『…潮田君って事は…ロヴロさんのねこだまし?』

私に気付いて皆がこちらを振り返り、皆も私に無事でよかったと返してくれた。
あんなに嫌な言い方をしたのに、これだから皆といるのは心地いいんだ。

『………とりあえず潮田君救出しに行ってきます』

「え?蝶ちゃん、いったい何するつもり……ええ!?」

橋がないのなら…能力が使えないのなら。
簡単な事、自分の身体を使って、飛び越えればいい話。

潮田君と鷹岡のいる所に飛び移って、潮田君を横抱きにする。
身長も高い方ではないし、細身の子だから抱えやすい。

「えっ、ちょ、白石さん!!?」

「……白石ぃ…?」

潮田君が慌てて出した声に反応したのか、鷹岡がこちらを睨みつける。
先程まで戦意喪失していたのに、とんだ切り替えの早さだ。
そんなに私に恨みがあるのか。

「白石……白石蝶………!!」

向かってくる鷹岡の勢いに驚いて潮田君を下ろし、私の後ろに隠れさせる。

「白石さん、危ないよ!!前になんて入ったら…!!」

『………潮田君、一個言っとくね』

「!!…ぐっ、!?」

鷹岡の拳を右足で受け止めて、そのまま軽く蹴り返して言った。

『私よりも、潮田君の方が危なくなるかも』
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