第1章 蝶と白
ふと、私の腰辺りまで伸びた、少しウェーブがかった白い髪を触る女の子達。
今はサイドテールにしてあるが、おろすともっと長くなる。
髪を触られるのは構わないのだが、そろそろ言わなきゃな…
『質問はこの位ですね?…一応応えはしましたが、私は貴方達と深く関わり合うつもりはないので、出来ればあまり関わらないようにしてください。』
丁寧な口調にはしたけれど、これだけ言えば相当な反感を買うはず。
「ええっと…なんで?」委員長の磯貝君に優しめに聞かれる。
『私は、貴方達と仲良く過ごすためにこの学校に転校してきたわけではないので。…あ、殺せんせーの暗殺報酬にも興味はないですから、皆さんは今まで通りに暗殺を続けててくださいね。』
「何言ってんだよ。このクラスに来たんだから、ちゃんと暗殺にも参加しないと!」など、批判の声。
『私は、別に参加しないとは言っていません。言われたら暗殺に協力もします。ただ、馴れ合わないと言ってるんです。勿論邪魔もしませんよ。』
この言葉にもまた反論が飛びそうなのを阻止しようとしたのか、突如入ってきた烏間先生とイリーナ先生。
「彼女の件に関しては、皆、思うところはあるだろう。理由は話せないが、あまり責めないでやってくれ。」
『っ!先生が頼む必要ないんですよ!?なんで私のフォローなんか…』
「私達教師はあんたの事情を知ってるんだから。当たり前でしょ?」
そんな先生達に、不満を持つ生徒はやはり多いらしい。
「理由が話せねぇってどういう事だよ!」
『言ってどうするんですか。私は関わりたくないって言ってるんですよ。』
終わりそうにないこの口論に終止符を打ったのは、以外にも赤羽君だった。
「まあまあ、皆落ち着こうよ。皆だって詮索されたくないことくらいあるでしょ?それと一緒だって。授業ももうすぐ始まるし、とりあえず着席しよう?」
それを聞いて渋々自分の席に戻る皆。
自分で考えてたことだけど、やっぱり酷いことしてるよね、私。
それに、この場を収めてくれた赤羽君にも感謝しないと。
チラリと横目で赤羽君を見ると、彼もこちらに気づいたようだ。
「また何かあれば、任せてよ。出来るだけ関わらないでサポートするからさ。」
…本当に、この人は周りとは何か違う雰囲気を帯びてる。
周りにバレないよう、お礼だけは口パクで伝えた。
「!…うん。」