第7章 克服の時間
嘘ではない。
嘘は、言われていない。
私はお願いをする身、口答えもするものではない…屈服するとは、そういう事だろう。
『……早く済ませて。トウェインさん、どうすればいいの。分かってるんでしょう』
「…うん、着いてきて。僕も腹を括るよ」
どこかに向かいながらも、やはりトウェインさんはどこか苦しげな表情になっている。
ごめんねと、聴こえた気がした。
フランシスからトウェインさんが受け取った鍵で部屋に入室する。
そこは少し薄暗い場所で、照明はベッドライトしかつけられていない。
それもかなり薄い明かりで、セレブやお金持ちの泊まる部屋にしては部屋自体も何だか狭いように感じられた。
「とりあえずここに座って」
トウェインさんに促されて、言われたようにベッドに腰かける。
何なのだろうと思いつつもトウェインさんと二人になったという事で、少しだけ警戒心を解きかけた時だった。
『……ッん、ぅっ!?…〜〜〜!!!』
「ク……ッ、やっぱそうなるよねぇ…」
両肩にトウェインさんが手を置いて、あろう事か、また私にキスをしたのだ。
やめてと言うように睨みつけながら、思いっきりトウェインさんの胸を押して口を押さえる。
『いきなり何するのッ、こんな…っ』
「…蝶ちゃん、ここの様子はボスが見てる。僕だって本当はこんな事したくない。でも、こうしなくちゃ…蝶ちゃんが痛めつけられるの、見たくないんだよ僕」
ここの様子はフランシスが、見てる。
それはつまり…トウェインさんに攻撃をすれば、すぐにバレるということ。
『………お願いって、どうすればお願いになるの。攻撃って、どこからが攻撃?…抵抗するのは、危害になるの?』
「お願いは、ただ蝶ちゃんがそういう類のものを口にするだけで終わるさ…本心から思っていなくちゃ言えないようには、するんだけど」
『!!ちょ、っ…!?なんでそこっ……あ、ッ…』
枷に触れない程度に首を指でなぞりながら、トウェインさんは続ける。
「僕も無理矢理はしたくない、突き飛ばされない方がまだやりやすい。抵抗はまあどうだろう…とりあえず、ボスが認めたらすぐにでも終わらせてはあげられるようにするよ」
腕を回されて抱きしめられ、耳元でトウェインさんに囁かれる。
「色々と蝶ちゃんには辛い思いをさせることになっちゃうけど」
そして、私の服に手をかけられた。