第7章 克服の時間
それに気づいて咄嗟にトウェインさんの手を掴むものの、またすぐに唇が塞がれて、頭が混乱する。
何、されるの。
ううん、そんなのもう分かってる、分かってて気付かないふりをしてる。
やだ、やだ、こんなの…中也さん以外の人にされるの、嫌だよ…
『ん、んッ……はっ、ぁ…やだ、やめてトウェインさん!!せめてキスだけでッ!!…んっ、ぁ…っ』
首を撫でられながら、器用にベストのボタンが片手で外されてしまった。
「僕が今からしようとしてること、分かってるんでしょ。…好きな人がいるって分かってて、ボスは僕にこうさせてるんだよ。その意味、分かるかな」
胸の前で曲げて震わせる腕を片手で動かされて、するするとベストが脱がされる。
屈服させるって、こういう事…危害を加えるなって、さからうなって、何をされてもって、こういう事。
『や、やだあっ!!…お願いッ、助けなんて呼べないって分かってるんでしょうっ?だったらこんなのっ…私中也さん以外の人と、したくないよッ!!』
ピクリと、トウェインさんの手が止まる。
私、ずるいこと言ってる。
こんな事言ったらトウェインさんが困っちゃうって分かってる、トウェインさんは優しいから、罪悪感を持っちゃうって分かってる。
「…それも知ってる」
『!!……ッ、屈服するって、そういうことなのっ?…私が中也さんの事好きなの知っててって……私に中也さんを裏切らせて、その上で服従しろって、言ってるの……?』
「頭、良いんだねやっぱり…そういう事。だから、蝶ちゃんの反応を見てボスが認められるように……お願い、早くあの男を忘れてくれ」
私に悲痛な顔を向けるトウェインさんは、すぐに私のシャツのボタンを外し始めた。
一つ一つ外されるごとに、解放感が肌を伝う。
『あ、ッ…そんなの、出来ない……っえ、?』
何とかトウェインさんの腕に手を置けば、腕を纏められ、どこから取り出されたのであろう、細長い布を巻き付けられる。
『ま、待って!トウェインさん!!私トウェインさんのことつき飛ばせないの!こんなのされたらっ…』
抵抗さえも、出来ないのか。
少しキツめに両手首が縛られて、トウェインさんが一旦私から離れたかと思うと、私を横抱きにしてベッドに仰向けに寝かせた。
「ごめん、でも、こうしないと蝶ちゃん手出ちゃうでしょ。そうしてたらいつまで経っても先に進まないから」