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第7章 克服の時間


「さて、君らになるべく普段着のまま来させたのにも理由がある。入口の厳しいチェックさえ抜けてしまえば、ここからは客のフリができるからだ」

「客ぅ?悪い奴等が泊まるようなホテルなんでしょ。中学生の団体客なんているんスか?」

菅谷君の問いには、私が答えた。

『調べた限り、結構いるみたい。芸能人や金持ちのボンボン…子供達。王様のように甘やかされて育ち、子供の顔のうちから悪い遊びに手を染めるような子達が何人も』

「そう。だから君達もそんな輩になったフリで、世の中をナメてる感じで歩いてみましょう!」

殺せんせーの声を皮切りにして、皆がガラの悪そうな顔になる。

「この調子、か?あとお前までナメるな」

私と潮田君は勿論無表示だ。

「ただし、我々も敵の顔を知りません。敵もまた客のフリをして襲って来るかもしれない。充分に警戒して進みましょう」

「「「はい!」」」

客のフリをして歩けば、思っていたよりもすんなりと通って行けたからか、三階に到着する頃には皆気が緩んでいた。

皆がそんな雰囲気で、そんな中、遂に単細胞組が動き出す。

「へっ、入っちまえば楽勝じゃねーか。時間ないんだし、さっさと進もうぜ!」

寺坂君が先陣切って走り出す。
しかし、前から一人の男が、素知らぬ顔してこちらに向かって歩いてきた。

「『寺坂君!そいつ危ない!!』」

不破ちゃんと声が被って、その瞬間に烏間先生が寺坂君と吉田君の襟を掴み、後方に投げ飛ばす。
しかしそのままでは烏間先生も危ないと思い、自分の出せる全力の速さで烏間先生と男の間に割り込んだ。

すると一瞬で男は何かの容器をこちらに向けて、自分の口元を布で覆う。

気づいた時には少し遅くて、壁でマスク代わりに自分と烏間先生の口を塞いだ頃には、二人共既に相手の噴射したガスを吸い込んだ後だった。

やられた、私なんかならすぐになんとかなるからいいけど、ここで一番の戦力である烏間先生を守れなかった。

烏間先生は膝をついてしまい、私は何とかよろけるのを耐えて、相手の男を睨みつける。

咄嗟に相手のガスの容器を蹴り飛ばしたものの、私でもこのタイプのガスはあまり経験がなくて、治すのに少し時間がかかるようだ。

「チッ…なぜ分かった?さっきを見せずすれ違いざまに殺る。俺の十八番だったんだがなぁ…オカッパちゃんと、噂の護衛係ちゃん?」
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