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第7章 克服の時間


裏口から侵入して、辿りついたのはロビー。
しかし、流石に警備が厳しく、何人もの警備がついている。

最初にして最大の難所…。

『烏間先生、警備を全員倒すか全員気絶させるか、私が上手くひきつけてるうちに全員で通るのが一番かと』

「「「まてまてまて!!」」」

物騒すぎんだろ!?と声があがる。

『物騒すぎるっていったって、それが一番確実でしょ?腕っぷしを利かせて行くか、“違う武器”を使うかしか、選択肢はないんだから』

違う武器、そう言った私の思考を読み取ったのか、イリーナ先生が私の元に来る。

「蝶…あんたがここでそれをしてちゃ、上に行ってからの戦力が確実に落ちるわ。不安も出てくるし、士気も下がるかもしれない…何より、そんな格好してきててやるってんなら、相当やらなきゃダメだって分かってんでしょ?」

そこを専門とするイリーナ先生に言われてビク、と肩を揺らす。

「…あんた、この前あれだけ思いつめてたんだから、このやり方は私に任せておきなさい」

頭をポンポン、と撫でられて、イリーナ先生が前に出る。
私の格好じゃあ露出もないし、それに私みたいな子供がそれをしようとすれば…イリーナ先生の言うように、相当なものを我慢しなければならない。

好きでもない人に向かって、恥ずかしい事をしなければならない。
それにあんまり、自信もない。
だから、それこそ今回の状況に相応しい格好をして来ていたイリーナ先生がいてくれて、本当に本当に安心した。

「蝶の考えは同じみたいだけど、ここは私がやってあげるわ…普通に通ればいいのよ、あんなところ」

イリーナ先生の発言に、皆また声をあげる。
状況判断も出来なくなったのか、どうやってあんなところを通るんだよ。

「だから、普通によ」

『……ありがとうイリーナ先生、お気を付けて』

もう一度だけ私の頭を撫でて、イリーナ先生はふらついた歩き方でロビーの中心に入っていく。

その姿を見ただけでも魅了されてしまいそうな程、綺麗な人だ。
私なんかとは違って、綺麗な綺麗な女の人…ただの、普通の殺し屋の、綺麗な女の人。

イリーナ先生が警備の人にぶつかって、話しかける。

「あっ…ごめんなさい、部屋のお酒で悪酔いしちゃって…」

「あ、お、お気になさらずお客様!」

あんな演技、私がやっても綺麗じゃない。
演技は出来ても、綺麗じゃないの。
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