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第7章 克服の時間


『え……っ、今、なんて……?』

嘘だと言ってほしい。
冗談だって言ってほしい。
でも、国木田さんは同じ事をまた繰り返す。

「いいから落ち着くんだ、死んではいない!」

『死ぬなんて言葉言わないで!!』

つい大きな声を出した私に、みんなの視線が集まるのを感じた。

『…っ、ごめんなさい大きな声出して』

「い、いや。俺の説明が悪かった、気をつける…さっきも言ったが、鏡花が軍警に引き渡されて敦が組合に攫われた……そして、太宰が車で異能特務課の人間と交渉していた時」

もう一度聞く国木田さんからの言葉に、それが嘘じゃないと頭に叩きつけられる。

「太宰の乗っていた車に、組合の刺客の車が横から真っ直ぐ追突してきた。かなり意図的ではあるが、事故の規模はかなりのもの。一緒に運転席に乗っていた男は太宰よりも怪我の状態が悪いらしい」

安吾さんの事だ。
しかし、まだ安吾さんに関しては助ける方法がちゃんとある。
与謝野先生の能力さえあれば全開できる。

けれど、太宰さんは違う。

『……太宰さんの具合は?』

「打ち身が酷いのと、後は右腕の骨をやっているくらいだ。エアバッグのおかげか、命に別状はない…奴らしい生命力だ。しかし、まだ意識が戻らない」

『!!意識って…太宰さんには、与謝野先生の“君死給勿”が使えないんですよ!?そんなの、私がすぐに戻って「馬鹿な事を考えるな!!!」…っ、でも!!』

国木田さんに大声で…携帯から声が漏れて響き渡るくらいの声で、怒鳴られる。

「お前が請け負ってどうするんだ!?それで太宰の容態が良くなったところで、戦力のお前が骨をやっては、いくらお前でも数日は完治させるのに時間がかかるだろう!!」

『じゃあどうするんですか!?敦さんも連れていかれて、太宰さんがそんな状態なのに…!乱歩さんはなんて言ってるんです』

「その乱歩さんが、絶対にお前に移し替えさせるなと言っているんだ!それに今、そっちもかなりの非常事態なんだろう!」

そこまで怒鳴られてハッとした。
太宰さんの意識がないということに気が動転しすぎて、今の状況が整理できていなかった。

「白石ら太宰はあれでも頼りになる男だ…今日、奴と会ったんだろう。何か言われはしなかったか」

『……っ、一人で敦さんの奪還には、向かいません』

「…それならいい。馬鹿な事も、もう考えるんじゃないぞ」
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