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第7章 克服の時間


「何者だ、まさかこれはおまえの仕業か?」

「ククク、最近の先生は察しが良いな…人工的に作り出したウイルスだ。感染力はやや低いが、一度感染したら最後…潜伏期間や初期症状に個人差はあれ、一週間もすれば全身の細胞がグズグズになって死に至る」

電話からの声に耳がピクリと反応する。

「治療薬も一種のみの独自開発でね。生憎こちらにしか手持ちが無い。渡すのが面倒だから、直接取りに来てくれないか?山頂にホテルが見えるだろう。手土産はその袋の賞金首だ」

相手の指すものは、完全防御形態になった殺せんせー。
向こうには、こちらの動きが見えている…?
それにそのホテルというのは、私が昼間に見つけたホテルだ。

あちらの手元には治療薬を爆破できるスイッチがあるという。
機嫌を損ねたら一撃で治療薬を爆破できると。

殺せんせーが動ける状態なのを想定しての手はずだったために、手も足も出すことの出来ない今の殺せんせーは、相手にとっては好都合。

山上のホテルのフロントに話は通してあるから、一時間以内に殺せんせーを持って、クラスで一番背の低い男女で来い。
それが犯人の要求。

相手から一方的に電話は切られ、烏間先生が電話の内容を皆に伝える。

「…という事だ」

『烏間先生、潮田君を巻き込む必要ないです。行くなら条件にも該当していますし、私一人で…あのホテルは、昼間にしっかりとマークしておきました』

私が一人で乗り込むと言えば、その場の全員に動揺が走る。

「待つんだ白石さん!いくら君でも、あのホテルは政府の中でも有名な…」

『はい、見つけた時に、あのホテルのコンピュータとセキュリティをハッキングして、調べはつけました。流石に宿泊者の情報なんかは無理でしたけど、建物の構造などは全て頭に叩き込んでいます。だから……!』

今度は私の携帯が鳴る。
音が、出ている。
つまりこれは、メールではなくて電話…横浜の方でも非常事態が、あった?

すみませんと一言言って、少しだけ離れたところで電話をとる。
電話の主は国木田さんだった。

『もしもし、白石です。国木田さん、どうされました?今、こっちの方でも問題が起こってて…』

「!そっちが非常事態なのか?なら、戻ってくるのはそっちの一件が片付いてからでいい。起こったことだけ手短に説明する」

国木田さんから知らされた事実に頭の中が真っ白になった。
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