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第7章 克服の時間


映像編集もセッティングも終わって、チャペルの外に出る。
今度は三村君も岡島君も近くにいて、三村君が手を引いていってくれた。

『ありがとう…で、私は山の上の狙撃点にいるように殺せんせーに思い込ませるために、ホテルの中にいればいいのよね』

「ああ、本当に助かったよ!ありがとう」

「後は俺らに任せとけ!」

『ううん、こちらこそ!頑張ってね!』

二人はまたチャペルの方へと戻っていって、船上レストランがこちらに戻ってくるのが見えた。
千葉君と速水ちゃんは水中にいて、作戦上匂いが消えるため、殺せんせーには恐らく警戒されずに射撃が出来る。

しかし、今回の作戦の頭数に私が入っていないことを殺せんせーは知らない。
だから私の匂いが陸からしないように、私は自分の匂いを外に出さないよう行動する。

『……一人だけホテルの中になんて、いれるわけがないんだけどね』

皆が殺せんせーを水上チャペルに連れていく間だけ、大人しくバレないようにホテルの中に戻っておこう。

ホテルの中でふと携帯を取り出せば、メールが一通入っているのが目に入った。
何かあったら皆電話を入れてくれるため、メールの方は音を切っていたのだ。

何かと思って開いてみると、差出人は太宰さん。

『一人で乗り込むのは禁止……突入はダメ………帽子置き場と離れないようにって…何これ、どういうこと?』

やけにカラフルで鬱陶しいくらいにハートの飾られた文面だが、書かれていることが何を意味しているのかがよく分からない。
恐らく組合の事だろうけれど、それにしてもこんなに注意をするだなんて、心配しすぎじゃあないの太宰さん?

私だってただの子供じゃないんだし、そもそも一人で敵のボスに敵うだなんて考えてもないよ…本気でやったら、殺しちゃうじゃない。

メールの内容が不思議で電話をかけるも、誰かと電話中なのか忙しいのか、取ってもらえる気配がない。

一言、了解です。私がそんな馬鹿な事をするわけがないでしょう?と返信して、求愛なら他をあたってくださいと軽く返した。

そして帽子置き場という言葉を思い出して、船上レストランが向かってきているため、暗殺が始まる前に中也さんに連絡しようと思い立つ。

『…………!も、もしもし…』

「蝶か…どうした。思ったよりも早かったな」

『もうすぐね、殺せんせーの暗殺なの』

声を聞いてすぐ顔が緩んだ。
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