第7章 克服の時間
再生ボタンを押してから、スクープ番組のようなBGMと共にE組の校舎が映し出され、三村君のナレーションが入る。
《三年E組が送る、とある教師の生態…情報提供 潮田渚、他。撮影 岡島大河、映像編集…》
「それっぽいな、なんか」
「こういう番組見たことあるわ、俺」
映像は教室の中に変わり、黒板の前に三村君、岡島君、前原君が並んでいる。
《我々調査隊に、極秘情報を提供してくれた方々にお越しいただきました》
三村君の紹介で岡島君と前原君が会釈をする。
なんでだろう、すっごい気合い入れてキメ顔してる。
《お話を伺う前に、続きをご覧ください___》
すると突然映像がまた切り替わり、先程までは真剣にE組と殺せんせーの事について語っていたナレーションが、唐突に一旦切れる。
そして全身がピンク色になった殺せんせーの体と、いつか見たばかりの大量の成人向け雑誌が映し出される。
《買収は……____失敗した》
「プッ…!!」
『これは……ッ、プッ、…!』
《最近のマイブームは、熟女OL。全てこのタコが一人で集めたエロ本である》
『あ、ダメこれ、笑いがっ…フフッ…あ、さっきの映像、下から上にカメラ移動させてからのバストアップにしよ。引きを作れていいかもしれない……買収っ、プッ…』
この段階で既に笑いが堪えきれない。
本番ではこれを皆の目の前で流すのかと考えると、更にお腹が捩れるくらいの笑いがこみ上げてくる。
「了解、メモっとく……笑っちゃ可哀想だって……ブッ、」
可哀想だと言いつつ三村君もツボに入ってる。
ほかの二人も例外ではない。
私は本番これを見れないから、殺せんせーのリアクションが手に取るように思い浮かんで更に面白いのだけれど。
次に映像は街中に変わる。
《女子限定のケーキバイキングに並ぶ巨影。誰あろう……奴である》
【殺子よ…】
「え、この声マジで白石のソフトで編集したのか!?それにしか聴こえねえ!!」
『う、ん…っ、あ、ダメ、お腹が…!』
《バレないはずがない。女装以前に人間じゃないとバレなかっただけ奇跡である》
店員さんに取り押さえられて捕まる、女装した殺せんせー。
因みにこれの情報提供は私とカエデちゃんだ。
ケーキバイキングに行った時に、二人共違う日だったのにも関わらず、あの女装した殺せんせーを見かけたのである。