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第7章 克服の時間


水上チャペルで映像編集をしている間、私でも見たことのないような殺せんせーの嘆かわしい映像がたくさん見せられて、何だか心が痛くなってきた。

『…この映像よく集めたね。……って、あれ?これこの前の「あああああ!!三村!その映像早く流せ!!」え!?ちょっ、何で隠すの!?』

「え?う、うん?」

殺せんせーがカブトムシに擬態している映像が一瞬見えたかと思えば、前原君にすぐに両目を塞がれた。

「白石、お前はもうこれを見てはならない……俺らが中原さんに殺される」

「そーいうこった。……よし、もういいぞ」

『何よ?もう前岡島君の携帯で見せられたのだけで十分全部覚えて…って、何てこと思い出させるのよ馬鹿!!』

逆ギレのようにして顔を赤くして叫べば、三村君ただ一人がああ、成程ねと苦笑いを浮かべていた。

「そんじゃあまあ、そろそろいい時間だし…後は磯貝が夕飯持ってきてくれんの待ちながら編集作業頑張りますか!」

『そうだね…あ、ここのナレーションとBGMこれとかどうだろ。本人が聞いたら一番心に刺さりそうだし、多分狭間ちゃんがいい感じに殺せんせーの心を抉りやすい』

「おお、いいね!んじゃこっちはこれで…ここはこうしよう」

三村君と意気投合して編集を進めていれば、前原君と岡島君から顔を青くして見られ始める。
勿論私達二人は楽しいのでいきいきしている。

「こ、こいつら俺らなんかより恐ろしいこと考えてやがる…!」
「純粋なあの笑顔が一番怖ぇよ俺」

三村君と編集作業を分担して、とりあえず一通り編集は終えた。
後はテロップと効果音と、映像と映像のつなぎの部分の時間調整…それと三村君のナレーションの言葉選びのチェックだ。

この作業は本番ギリギリまでねばって、殺せんせーを最大限弱らせるためにも欠かせない。
前原君は途中で抜けて、磯貝君と一緒に私と三村君と岡島君の分のご飯を持ってきてくれるらしい。

ホテルレストランの厨房の方も異常はなさそうだし、この調子なら映像も間に合いそう。

『うーん……試しに一回全部流してみる?殺せんせーの声を取り込んだ私のオリジナルソフトで組み込んだ音声も合わせて』

「おおお!それらしくなってきたじゃねえか!」

「いびり倒してやるぜ!!」

「あはは、なんか途中から目的変わってる気がするけど……じゃあ見てみよう。流すよ」

三村君が再生を開始した。
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