第2章 暗闇の中で
時刻は数十分前に遡る。
中原は、新幹線の上で予め赤羽から情報を色々経ていた。
それに加え、盗聴機能によって学校であったことを少しは知っている。
「まずは、潮田とやらがしおりを持ってきてやがんだろ?」
「は、はい!…え、でも何でそれを?」
「蝶に着けてた盗聴機で聴いてたんだよ。それより、早く出してみろ。」
指示通りにしおりを取り出す潮田。
しかし、ここで赤羽が言う。
「あれ?中也さん、発信機あるんじゃないの?」
「ああ、発信機か。あれは…」
話によると、蝶が攫われる前、首領と他の部下は全員京都土産を散策しに離れてしまったのだとか。
しかし、蝶の持たされた無線機から発信機を探知するには、中原の持っている無線機をタブレット端末等に接続しなければならないらしい。
「んで、発信機能が使えなくなった俺は一人で蝶を見失わねぇようにしてたんだ。」
つまりは今、発信機は使いもんにならねぇ
吐き捨てるように言いながら、これ、見てみろ。と潮田に仰ぐ。
「これは…拉致対策用マップ、!?」
殺せんせーが用意していたマップを使って、捜索する場所が決定した。
赤羽も先生と連絡がついたようで、拉致された生徒の救出をと動き始める。
「あんたらの修学旅行はこの後……全部入院だよ。」
殺せんせーと協力して、何とか不良は撃退。
茅野と神崎は助け出された。
皆安心していたのも束の間、中原だけは表情の筋肉を緩めていなかった。
足音を鳴らしながら、既に伸びている不良の中心的人物の胸ぐらを掴み、目を合わせて睨みつける。
「手前……もう一人、どこに隠してやがる?」
「ひっ、!?何の話だよ!?」
声が響き渡り、殺せんせーを含めた全員がそちらを見た。
「何惚けてやがる…さっきから聴こえてんだよあいつの声が、俺は今イライラしてんだ…さっさとしねぇとこうなんぞ、?」
刹那、大きな音が響いたかと思えば、中原が床に大きなひびを入れていた。
「す、素手!?何者ですかあの方!」
不良どころか殺せんせーまでもがおののいている。
「…、こ、ここから出て、奥に進んでいけばまた建物がある……三つ目の建物の地下だ、…っす」
「……そうかよ。手前ら、あいつのとこは俺一人で行ってくるから、絶対来んじゃねえぞ!!」
その言葉と共に、目にも見えない速さで中原はここを後にした。