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第6章 あたたかい場所


『中也さん中也さん、お風呂上がっ……わッ!?と、ッ…!!』

騒々しく部屋に入ってこようとした蝶が、慌てすぎて足をもつれさせたのか転びかけ、それをなんとか踏ん張ってよたよたと足をふらつかせる。

「ああ!?馬鹿、何やって……ッ!!?」

『…えへへ、大丈夫だよ。中也さんのとこに来たからね』

俺の気も知らねえで突然膝の上に乗ってきて、ベッドの上だったからいいものの俺に抱き着いて押し倒してきやがった。
恥ずかしがり屋なのか大胆なのかどっちかにしてほしい。
マジで心臓に悪い。

「お前……能力の無駄遣いって知ってっか?」

『私利私欲の為なら無駄にならないよ、中也さんだって私に使うでしょ』

「ああ、んな事もあったな。んじゃ俺も遠慮せずに使わせてもらおう………お前、俺に散々“触ってる”もんなぁ?」

何をしようとしたのか理解したようで、ビクリと肩を震わせる蝶。
俺より多くの事を知っていても、どれだけ色んな経験があっても、やっぱり俺には勝てねえのがこいつらしい。

『あ、あの、私中也さんのところに来ただけで何も悪い事は……きゃ、っ…………ああああ…こ、これもうやめっ……どこに連れてくんですかああ!!?』

重力操作で蝶を無理矢理浮かせて、そのままそしつを引っ張ってベッドからおり、リビングのソファに座らせる。
そこから能力を使ってもうろちょろできねえように、痛くない程度には押さえつけて。

『そ、ソファ?ソファなんかより中也さんのところに行ったのに……あ、あああ!?何で!?何で頭掴むの中也さん!!』

片手で頭を掴んでほんの少しだけ力をいれれば、面白いくらいの反応を見せる蝶。
あまりにも面白かった為に異能力は解除してしまったが、グググ、と力を入れる手と表情は崩さない。

「蝶…お前、もう忘れたか?忘れねえよな、毎日の事だよな?」

『ふえ、?ま、毎日中也さんで生きてま…っす、ッ!?手!!手ぇ!!』

力があまり入ってはいないが、腕を上げて頭を掴む俺の手を掴んでいる。

クソ、嬉しいことばっかり言ってくれやがって。
だがそれとこれとは別だ、可愛らしいことばっかりしてくれっからこそ、そこは放ってはおけないところ。

「ほーお?風呂上がりにすぐに俺んところに飛びつきに来て?」

『こ、転けかけた…?』

「お前………先に髪乾かさねえと、風邪ひいたらどうすんだよ!!!」
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