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第6章 あたたかい場所


『……し、っと…?中也さんが……?』

頭の中にはそれしか思い浮かばなかった。
あの中也さんが。
私が頭を撫でられてるのを見たってだけで?

「店入った時からイケメンイケメンって言ってっし、それに……あーなんだ、その、擦り寄ってこられて気分が良くなってきた時にスッて離れていかれんの、結構クるな」

『!……寂しくなった?切なくなって、もどかしくなった?』

なんでそんな嬉しそうなんだよ…と呆れつつも、肯定の返事をしてくれる。

だけど、嬉しいに決まってる。

『症候群…!私と、一緒だよ中也さんっ』

「お前のやつとはまた少し違ぇかもしれねえけど…まあそういう事にしといてやるよ」

中也さんに頭を撫でられて、もっともっと嬉しくなる。
しかしここで、一言言わせていただきたい。

『ねえ、もうキスしないの?』

「ブッ!!!」

『あれ』

またもや噎せ返る中也さん。
また私変な事言ったかな、なんて考えるものの、もっとしてよと言っているようなものだったので、別におかしな事は言っていないと納得する。

「おまっ、またいきなりんな事をっ……いいのかよ?イケメンの悠馬じゃなくって」

『?何言ってるの中也さん、磯貝君がイケメンなのは当たり前じゃない、イケメンなんだから』

グハッと心臓を打ち抜かれたような声をあげる中也さん。
ライフがどんどん減っていってる。

『でもね、中也さんがカッコイイの。カッコイイのは中也さんだけなの。私の一番は、中也さんと出会った時から中也さんなんだよ』

「……俺?…俺が一番?」

『ずっと言ってるのになんで忘れちゃうの』

「………はっ、忘れてねえよ!お前に言わせたかっただけだっつの!!」

子供みたいに張り合ってるように見せかけて、照れ隠しをしてる中也さんも好き。
これはかなり本気で照れてる証拠。
嬉しすぎて素直に言えない時の、中也さんの癖。

『もう言ってあげない』

「すまん、次もまた言ってくれ」

『…気分次第ね……ッ、!…中也さん?』

突然、今日も朝にくくってもらっていた髪の毛が解かれて、髪が全てサラリとおろされる。

「とりあえず、風呂入ってこい…その後でプリン食ってから、寝るまでまた可愛がってやっから」

『可愛がるって…中也さんデレ期だね?』

「……うっせ、早く行ってこい」

真意は分からないが、お言葉に甘えさせてもらった。
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