第6章 あたたかい場所
岡島君と前原君が騒いでくれているおかげで、小さく発した私の言葉は誰にも届かず済んでいた。
「よく言えました…ここでしてやりてえけど、また続きは帰ってからな」
『ん…!』
おでこに軽くキスされてから、中也さんは私を見て穏やかな顔で微笑みかける。
喫茶店という明るい場所で見えた中也さんのそんな優しい顔に心臓がドキドキうるさくて、呆然と見つめてしまった。
「……え、と。今のは公開キスっつー事でよろしいので?」
「あ?ああ、あんときはカルマとあいつらだけだったか…別に今すぐもっとしてやってもいいんだが、流石にそこに入るとこいつが恥ずかしがっちまうし、悠馬の働いてるとこだしな。調子に乗んのもここまでだ」
「おい聞いたかお前ら、これ完全に常習犯の台詞だぞ今の!中原さん、白石とはいったいどこまですすんで…」
岡島君の声に色々思い出して恥ずかしくなって、中也さんにまた顔を埋める。
ポカポカと中也さんを叩くも、急所でもないため全くもって効果が無い。
「ちょ、暴れんなって、恥ずかしいのは分かるけど落ちたら危ねぇだろ……ったく。蝶とどこまでって、んなもん俺はこいつが望むことを全てしてやるだけだぜ。どこまでもなにも、んな事考えてたらキリねえよ」
手をピタリと止めて、中也さんの首元にしがみつく。
嬉しいような恥ずかしいような、けど私を気遣ったような、嫌じゃない返し。
『……嘘つき』
自分は我慢してどこかで一線引く時があるくせに。
それも、そんな時に限って私の身体を気遣ってくらちゃうくせに。
「あ?そんなにここでされてえのかお前、んな不機嫌そうな顔してよ」
『…………されてもいいよ』
言った途端にその場の空気が凍りつく。
「…悪いお前ら、流石にこの状態の蝶をこのまま外には出しとけねえわ」
「そ、それがいいと思います」
「僕も…」
『帰るの?中也さん、プリン買って帰ろうよ』
中也さんは無言で顔に手を当てて、磯貝君にお金を支払う。
それにまたもや皆哀れみの目を向けていて、磯貝君がプリンを持ってきてくれたのでそれをもらいに席を立った。
『ありがと〜…美味しそう』
「これ、うちのおすすめなんだよ。ゆっくり味わって食べてくれよな」
中也さんにされるみたいに頭をポンポンとされて、プリンの入れられた袋を渡された。
しかしその瞬間、中也さんにまた腕を引かれた
