第6章 あたたかい場所
「誰がデレデレだ、誰が!!?」
いや、アンタだよと全員が口を揃えて突っ込む。
「手前らな、第一俺が蝶にデレデレなんて事は『違うの?』いいよもうそれで!!」
結局白石がつよいのな、と前原君が言った時だった。
『……ッ、ひゃ、…』
背中に回っていた腕が、ここに来るまで中也さんにいいようにされていたようにして、頬に…というより顎の裏に添えられる。
それについつい反応してしまってビクッと肩を震わせれば、中也さんの楽しそうな笑顔が見えた。
「手前ら、こいつが猫だっつったか?それに俺より強いとかなんとか…こいつは猫でもなんでもねえよ、可愛い俺の、ただの蝶だ」
『ふ、ぇっ…や、だちゅやさっ!んん、んッ…ぁ……ッ』
首がこんなに弱い猫がいるかよ、と言いながら、指をバラバラに動かして首を刺激する。
荒くなる呼吸に目が潤んで、それでも素直になりきってしまってる今の私は中也さんが欲しくて欲しくてたまらなくて、声をちょっとでも抑えながら中也さんを見ることしか出来なくなった。
そして今まで、ここをこうも刺激される時には必ずついて回ってきていたあれが、まだ来ない。
「……なんだ?今日はもう嫌って言わねえのか」
『…………ん、ッ…〜〜〜!!?』
遂にもう片方の手が動き始めて、耳をツツ、と弄り始めた。
岡島君や前原君の歓声が少し聞こえた気がするけれども、今はもうそれどころじゃない。
『ふ、…っ、ぁ、ちゅ……やさ…………んんッ、!!』
「ん?なんだ、言ってみろ」
『ぁ、ふあッ……ぁ、あれ…しない、のッ?しないのっ…?』
中也さんは一瞬目を見開いて手を止め、刺激から解放されたものの物足りなさを募らせる私をまた抱き寄せて、頭を撫でた。
「中原さん、蝶ちゃんにそれはいじめすぎじゃぁ…」
「首ってそんなにくすぐったいっけ…蝶ちゃんすっごい弱いのかな」
「いや、中原さんは分かってる!分かってやっていらっしゃる!」
「このもう育て上げてる感じがやべぇ、やっぱ白石の事熟知してるぜこの人」
私の耳元に口を寄せて、何を?と声を低くして言う。
それにどうしようもなくもどかしくなって切なくなって、それでも恥ずかしくてブワッと目に涙を溜める。
『わ、かってる…でしょっ……?』
「蝶の口から聞きてぇ」
『!……、したい…』
「何がしたいって?」
『……キ、ス……したい』
