第6章 あたたかい場所
「ち、蝶さん、それはまぁ俺にとって間違いじゃあないが…使い方に少々語弊がねぇですか?」
突然今度は別意味で吹き出したかと思えばそんなことを言いながら敬語になる。
使い方としては間違ってはいないつもりだ。
滅茶苦茶な言い回しをしているという自覚はあるけれど。
『違うの?間違いじゃないならいいじゃないですか』
「あー…うちの子は何でこうも純粋なのかね。三度の飯よりお前っつうのは、まあ俺にとっちゃあ正解みてぇなもんだし嬉しいもんだがよ…」
『へ…?……ッ、やッ…!』
中也さんがまたこっちに歩いて来て、私の両頬に手を添えて少し上を向かせて、楽しそうに目を見つめて言った。
「お前、俺がマジでそれ実行に移したら身体もたねえぞ?何回気絶したいんだよいったい」
『き、ぜつ…?気絶ってそれ、えっ…と…………!!?』
自分が何を口にしたのか思い出して、そういう意味に繋がるとようやく理解した。
「ほら、出たぞド天然。俺はそれでもいいんだがな?お前がそれ本気でやったら身がもたなくなるんじゃねえかと思って、かなり手加減してやってんだが…」
『い、いい!です!!テレビの次でもいいですもう!!……って、手加減!?手加減してあんなのって!?』
「お前が一々おもしれぇくらいに敏感なだけだっつうの。すぐ気失っちまうし、分かりやすいくらいにいいとこ触ったら反応すっしな」
もう何も言えなくなって口をぱくぱくさせていれば、中也さんが怪しい笑顔になる。
あれ、何でだろ、何も言われてないのに何言われようとしてるのか分かった気がする。
「お前がどうしてももっとして欲しいんなら…それこそ三度の飯よりっていうくれぇにしてほしいんなら、気絶も出来なくなるような事をしてやったっていいんだぜ?」
『〜〜〜!!!中也さん今日デザート抜き!!馬鹿ぁ!!!』
「いいよ、そん時はお前をデザートにすっから。さっきも耳、美味かったぜ……ってぇ!!?」
ついに衝動的に手が出てしまい、中也さんの鳩尾をピンポイントで攻撃した。
予想通り、流石に予期していなくてそこは対処できなかったようで、肩を震わせながらぷるぷると腕で押さえて悶えている。
『もう知らない!中也さんの変態!!』
「へんたっ!!?……ぐっ…へんた、いってお前……うぐっ、」
中也さんから逃げるようにして部屋に入り、制服から部屋着に着替えた。
