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第2章 暗闇の中で


カルマ君は、ただちょっと喧嘩慣れしてるというだけで、ただの中学三年生。

カルマ君の背後から、鉄パイプを持って近づいている不良には気がついていないようだった。

「こいつっ、!!」

「きゃあ!!?」

悲鳴の聞こえた方を振り向くと、不良に捕まってしまったカエデちゃんと神崎ちゃん。

そっちを助けに行きたいものの、カルマ君が不意打ちの攻撃を受けそうだ。
相手はカルマ君の頭部を狙ってるようだし、打ちどころが悪ければ命にも関わる。

どちらを優先するかは明確だった。

『…っ、ごめん……カルマ君!!』

「!なに、蝶ちゃ……!!」

流石に、もう振り下ろされ始めていたその鉄パイプを止める暇はなかった。
カルマ君の頭に当たらないよう、私が盾になる以外の方法が思いつかなくて…

鈍痛に苛まれ、意識がどんどん引きずり込まれていくような感覚。

『ごめ、なさ……っ、』

「蝶ちゃん、!!!」

私は重力に抗う事も出来ず、意識のない体を地面に倒すことしか出来なかった。

そこからは何も見えず、何も聞こえず、意識という意識が機能しない。

ただ、はっきりと聞き取れたものが一つだけあった。


“蝶…、!!!”

擦れたような、本当に本当に小さな、たった一瞬のその声が、私には聞こえた。

これ、あれかな?
走馬灯ってやつ。

だとしたら私死ぬのかな?
不良ごときに頭をたった一回、鉄パイプで殴られたくらいで?
笑えるね、元ポートマフィアの幹部さんがこんなんじゃ。

でも、いっか。
生まれて初めて出来た、上司でも同期でも部下でもない、“友達”の為に動けたんだ、悔いなんて……


“蝶”


まただ。やめてよ、思い出しちゃうじゃない。
その声で私を呼ばないで。

後悔ばっかり思い出しちゃうじゃない。

私、これからどうなるんだろ、本当に死んじゃうのかな?


貴方にもう一度、名前を呼んで欲しい。
頭を撫でて欲しい。
頑張ったなって言って欲しい。
慰めて欲しい。
抱きしめて欲しい。

ただ会うだけでいいだなんて、一目見るだけでもいいだなんて、嘘だよ。
こんなにも、これ以上に、まだまだして欲しいものなんていくらでもある。

今になって、…こんな状況でも、やっぱり欲しがっちゃうんだ。


中也さん、私は今、とてつもなく

















____貴方の愛が感じたいです





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