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第6章 あたたかい場所


トウェインさんが山をおりていってから、少しだけボーッとしていて、そこからあれこれ考え始める。

奇襲はしない、必要ないと言われた。
だから考えられる手とすれば、横浜で一人の時に構成員に囲まれるか…椚ヶ丘で囲まれるか人質を取られるか。

私が探偵社やポートマフィアの誰かといれないのはやはり学校にいる時。
殺せんせーにも烏間先生にも、人質が取られないようにと伝えてある。

異能力があっても、中也さんのようなものでもない限りは、恐らくマッハ二十で動ける殺せんせーには通用しない。
格闘においては烏間先生だっているし、私が何とかサポートに入れれば、異能力があっても皆は逃げられる…と思う。

後は私の頑張り次第。
横浜でも椚ヶ丘でも、移動は扉を使えば安全だし。

『………大丈夫、だよね』

誰に、言う?
誰に言える?

数日前から、太宰さんは組合に圧力をかけられるようにと、異能特務課の方へ掛け合っていると聞いている。
多分安吾さんに当たっているんだろう。
面会するのにも少し時間がかかるらしいし、まず太宰さんには相談なんて出来ない。

探偵社の誰か?
敦さんが狙われていてそれだけで大変だ。
ただでさえ気を張っていっぱいいっぱいなのに、そこに私の事まで入ってきたら、それこそ共倒れで敦さんまで捕まっちゃう。

学校の誰か?
もう先生達には出来る限りの協力を頼んである。
それに、皆の学校生活の負担になるわけにはいかない。

ポートマフィアの誰か?
そっちはそっちで大問題だ。
そもそも私は探偵社員だということもあるし、マフィアはQちゃんをなんとか連れ戻さなければならない。
自由奔放なあの子を太宰さんなしに連れ戻すのは、首領だって手を焼くはずだ。
それに紅葉さんをこちらの捕虜にしておいて…どの口が助けてだなんて言えるんだ。

『…中也さん?………言えない、言えるわけがない』

ポートマフィアの拠点を離れるわけにはいかないから…ただでさえ五大幹部の一人を探偵社の捕虜にされているから、沖縄に着いて行きたいけど行けないと言った中也さんだ。

そもそもの原因は探偵社…私にあって、ポートマフィアから中也さんを取っちゃうわけにはいかない。

でも、あの人にバレたら?
……絶対私を優先する。
拠点から出て、私の方に来てしまう。

『…得意でしょ、蝶』

絶対に気付かせない。
偽って、隠してしまえばいい。
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