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第6章 あたたかい場所


プッ、と電話が切られて、またやり逃げされた。
無機質な音が流れる携帯は烏間先生からカルマ君に返されて、私は呆然と立ち尽くしている事しか出来ない。

『え…と?あれ、私他に好きな女の人とかいるのかなって聞いたよね?……え、何今の、いるのかいないのかじゃなくってなんか盛大に親バカ発言して切られちゃった?』

「「「いや、違ぇだろ!!?」」」

『だ、だってなんか次元が違うとかって…何!?何なの中也さん!?私の事大好きなのは知ってるけど次元って何なの!!?』

何、さっきの……何か、本当に私の事女の子として見てくれてるみたいな言い方…でも、親バカだからって、考えられないこともない。

中也さんは自他ともに認める程には…否、周りや私でも分かっていないくらいには、私の事が大好きだ。
散々教えられて、散々身体で覚えさせられた。

さっきのは…どっちの好き?

「次元…まあ、次元だな、うん」

「んー…蝶ちゃん、それも多分、沖縄から帰ってきた時に言ってもらえると思うよ」

うんうんと周りが何やら納得している中で、カエデちゃんが私を宥めるように言ってくれる。

『…そう?……それはまあいい…って事にするけど、何であの人あんなにサラッと恥ずかしい事ばっかり言えるの』

悪態をつくようにむくれると、カルマ君から嫌なの?と笑顔で聞かれた。
分かってるくせして皆の前で聞いてくるから、タチが悪い。

『し、知ってるくせに……っ、すっごいかっこいい…………大好き』

「あ、やっぱり?あーもう、それ中也さんが聞いたら泣いて喜ぶと思うんだけどなぁ…」

「そろそろ蹴りが着くってわかってても焦れったすぎるわこの二人」

「いつまでかかってんだよって。そもそも認めんのが遅かったんだよな」

「ていうかお互い鈍感すぎてもうどうしようもなかったんだって。…あーでも、その辺向こうの方がやっぱり大人だったか」

泣いて喜ぶ、なんてカルマ君の後に、皆の声が聞こえる。
野次を入れられているということだけは何となくだけど分かった。

『お互い鈍感って、そんなんじゃないよ!?中也さんが鈍感モンスターなの!何回直接告白したって…う、ちょっと悲しくなってきた』

「もうめんどくせぇよ!お前も十分その辺馬鹿だから大人しくあと数日待っとけ!!」

「寺坂にしては正論言うね?」

『ば、馬鹿って言われた…寺坂君に』

「おい」
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