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第6章 あたたかい場所


ポートマフィア時代にも言われた事があった。
そうだ、四年でこの感覚を忘れきっていた。

『……覚えた。思い出した』

「ったく…そもそもお前、体術に限定して考えてっからんな事考えんだよ。そこの奴らだって悪い奴じゃねえんだ、安心して本気で暴れてやりゃあいい。んで、万が一太刀打ち出来ずに何かあったら…分かってんな?」

『!…はい……ねえ中也さん、中也さんって誰か好きな女の人とかいるの?』

「「「ブッ…!!?」」」

ちょっと前まで話してた事を、本人に直接聞いてみる。
突然の話の切り替えに戸惑ったのか、その場の皆だけでなく中也さんまでもが噎せ始めた。

「お、前っ…それ、なんでいきなりんな事っ…!?」

『んーん、気になっただけ。中也さんが私の事馬鹿みたいに大好きなのは分かってるけど、誰かいるのかなーって』

本当にただの興味本位だ。
けれど、これを聞いて私はどうするつもりだったんだろう。

もし、いるって言われたら?私は振られたもどうぜんじゃないか。
いないって言われたら?やっぱり私はそういう対象じゃあないってことになる。

どっちみち私が苦しくなるって気が付いて、言った後に馬鹿な事を聞いたな、なんて冷静に理解した。

『あ…ごめんなさい中也さん、やっぱりいいです言わなくて』

中也さんは怪しんでいたけれど、本来の目的であったカルマ君への伝言で、私がまた調子悪そうにしていたら連絡してくれとだけ口で伝えた。

「ああ、それでまだ電話繋いでたんだ?オッケー、了解」

「おう、頼んだ。あとそれから岡島、次また蝶に変なもん見せたり、下心もちながら触れてでもみろ?覚悟しとけよ」

「は、はいッ!!!」

よし、と言って中也さんは黙ってしまう。
もう切るのかな、もうちょっとこの声を聞いてたいのに…それにさっきの、絶対変だって思われたよね。

帰ってからを想像して、また暗くなっていた時だった。

「…蝶、心配症もいいが、これもそろそろ覚えとけ」

『?な、何ですか?次からちゃんと私だって容赦せずに…』

違う、とりあえず聞け、と言われる声に素直に従って黙る。

「俺は、蝶以外の女になんざさらさら興味なんかねえんだよ。第一お前を拾ってから、仕事ん時もそれ以外も、お前以外と過ごす事の方が少なかっただろ?そもそも野郎を含めて、お前以外なんざ次元が違いすぎて眼中にねえんだ…覚えとけ」
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