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第6章 あたたかい場所


『ち、違うよ!?それは私にハンデつけてもらってたから張り合ってたように見えたってだけで、中也さんになんか全然敵わないし…烏間先生だって全然本気で相手した事ないし、ロヴロさんだって現役時代なら分からないし、鷹岡にも高校生にも「ああまたネガティブになってる。中也さんに大人気ない勝ち方までさせた子が何言ってんの」だ、だって中也さんになんか勝てっこないもん!!』

次々に溢れる黒歴史の数々に更に恐れ多くなって、中也さんの足元にも及ばないんだということをちゃんと口にする。
しかし私に返ってきたのはカルマ君からでもクラスの皆でもない人からの声だった。

「え?あ、ああ、分かった…」

烏間先生が何かを呟いて皆がそちらに注目して、いつからいたのかと驚いていれば、携帯をこちらに向ける烏間先生。
あれ、もしかしてまだ電話切ってなかったのこの人。
つまりこれって、もしかすると中也さんに繋がってたり…?

「蝶、お前何情けねえ事ばっか言ってんだよ!俺にハンデつけるの忘れさせるくらいに追い込んどいてなにが鷹岡や高校生だ!?」

『だ、だって結局中也さんが解決してくれたんじゃないですか!カルマ君が中也さんに張り合ってたとか言うから、尾ひれつきすぎてるって「問答無用だ!!」あー…み、耳が……!!』

中也さんが私に毎回言うのは、自身を持てという事。
弱気になるな、なんて言われても…中也さんに敵わないのは常識だ。
当然の事なのだ。

キーンとする耳に頭をクラクラさせる。

「だいたいなあ、誰が鍛えてやったと思ってる!?俺の自慢の一番弟子がんなしょうもねえことばっか考えてんじゃねえよ!悔しいんなら次から本気でぶつかって実力見せてやりゃあいいだろうが!」

『!!…あれくらいならともかく、中也さんになんか敵いっこないもん。それにあんなのより強いのなんていくらでも……あいつだってまだ生きてるし、組合だっているのに』

「だから、お前が本気の俺と体術でやって勝てねえのなんか当たり前なんだっつの。俺が何でこんだけ鍛えてると思ってんだよ、頭きれんだからいい加減覚えろこの心配症が!」

中也さんが誰にも負けないくらいに鍛えてる理由。
これ、前にさらっと言われたような気がする。
なんだっけ…中也さんがこれだけ強くなろうとしてる理由って。

「……お前が負けるような奴があらわれた時に、俺が負けねえようにだろ」
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