第6章 あたたかい場所
『うん、ちっちゃい時から中也さんに色々と鍛えてもらってたからあんまり仕事に支障もないし』
「いや蝶ちゃん、あれで仕事に支障ないってあんまりとかじゃないでしょ絶対。俺蝶ちゃんの蹴り食らっただけで動けなくなんだけど?謙遜してるだけで普通におかしいくらいに強いよね?」
『ん?あるよ、たまーに…た、多分?』
ほら、鷹岡の時とか修学旅行の時とか!と言ってみせるも、あれ蝶ちゃん本気出せてなかったじゃんとあえなく玉砕。
しかし私は、カルマ君とそんな事ばかり話していて必死になっていて、周りの反応に気がついていなかった。
「え、まてよカルマ、何でお前が白石の蹴りなんか食らってんだよ?」
「ん?ちょっと興味本位で、本気の力で格闘してみようって言っただけ。勿論ハンデもあったんだけど、それでも予想してないくらいには強かったよホント」
『あっ、強かった!?ごめんカルマ君、出来るだけ骨とか折らない程度に抑えてたんだけど…』
ついつい慌てて言ってしまった言葉だが、それにカルマ君まで目を見開く。
それで、ようやくまたボロを出したと理解して、即座に両手で口を押さえた。
「…蝶ちゃん、手ぇ抜くのダメって言われなかった?」
『だ、だからバレないように必死に……っ、だ、だってカルマ君が骨折したりでもしちゃったら元も子もないでしょう!?本当に全力なんて出してたらガードが間に合ってなかったよ多分!あれでも受け身が間に合う人なんて普通いないのに!!』
ヤケになって全部言ってしまえば、カルマ君も皆とポカンとした顔になる。
「……あー…うん、そっか。そうだね、中也さんとやりあってた時とか見てたらそんな気がしてきたわ。確かに蝶ちゃんに本気でやられると俺今頃防御出来ずにいるわ、うん。あれは中也さんと殺せんせーくらいしか相手出来ないっしょ」
「中原さんとやりあってた!?つかカルマがそこまで言うレベル!!?」
どよめき始める教室に烏間先生が戻ってくる。
しかしそれに皆気付いていないのか、私の話でもちきりだ。
「そりゃロヴロさんも言うはずだわ!」
「本気出したら中原さんと張り合うレベルとか何だよそれ!?あの人蹴りでコンクリートにヒビ入れるような人だぞ!?」
「鷹岡なんか容赦なかったぞあん時…お、思い出しただけでも痛てぇ」
違うから、カルマ君のせいでかなり尾ひれついてるからそれ!!
