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第6章 あたたかい場所


「過程はどうあれ中也さんに拾われた…っつつか助けられた?って事か?」
「こんな年で敵組織に単身で乗り込むとかマジで何者だよあの人?」

流石にそこは答えなかった。
首領にも中也さんにも言っていないところで、勝手に情報を漏らすわけにはいかないから。

「自分と一緒に生きろとか言われてみたいわぁ~…流石中原さん、子供の頃からこの辺の男子なんかとは全然違うねぇ」

『……かっこいいでしょ?でもごめんね、中也さんは私のだから』

「はいはい、そんな話聞いて略奪なんかする奴いねえって。ビッチじゃあるめえし」

イリーナ先生が聞いてたら怒るだろうな、なんて苦笑いを浮かべながら、何だかちょっとだけスッキリした気がする。

こうやってちょっとずつでも、皆と距離を縮めていければいいな…

「それにしても白石蝶って、中原さんが付けた名前だったんだね?どうりでイメージぴったりだと思ったよ。名は体を表すっていうか、体から名を表したっていうか?」

『フフッ、何それ。そんな諺ないよ、カエデちゃん。まあでも、絶対忘れないからって言ってたな…四年も離れてて本当に覚えててくれたし』

ポロッと四年離れてた、とこぼすと、修学旅行の日が再開した日だと皆分かっていた。

「その、何で四年も…って、聞いていいのかこれ?」

『んー…詳しくは言いにくいんだけど、敵の中心的人物がまだ生きてて、四年前にまた捕まっちゃってたんだ。今回は施設の方で半年前にシステムエラーか何かが起こって、近くを通りかかった人か誰かが私を檻とかから出してくれたの。逆光で見えなかったんだけど、顔見てたら御礼に行けるのになぁ…』

あの枷がついている限り、私は能力で脱出出来ない。
その上システムエラーのせいで枷が誤作動を起こして、私の意識は朦朧としていた。

あの時の人が男の人なのか、女の人なのかも分からない。
ただの通行人だったとしたら、調べようもない。

『まあそれで半年前に上手くそこから脱出できて、元々私によくしてくれてた太宰さんのところに就職させてもらったの。…あ、太宰さんと中也さんはすっごい仲悪いから、二人の前でその名前あんまり出しちゃだめだよ?』

捕まってた時のことは考えない事にした。
何よりも今それを思い出して顔に出したら、皆の顔が曇っちゃうから。

「仲悪いのかよあの二人…」
「つか半年前ってそういう事か。納得したわ」
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